煙霧(気象現象)の概要と発生メカニズム

📌 主なポイント
- ✓煙霧は、大気中に乾いた微粒子が浮遊し、視程が10km未満となる気象現象である。
- ✓湿度が75%未満の場合に発生することが多く、靄(もや)とは区別される。
- ✓主な発生源には、砂塵、森林火災の煙、工場や自動車からのばい煙などがある。
- ✓気象観測において、発生源が明らかな場合は「風じん」や「降灰」など別の現象として扱われることがある。
煙霧(えんむ、英: haze)とは、目に見えない乾いた微粒子が大気中に浮遊し、視程が妨げられている気象現象を指します。気象観測上の定義では、視程が10km未満の状態を指し、湿度が75%未満であることが一般的です。微粒子が太陽光を散乱させるため、景色が乳白色や黄味・赤味を帯びて濁って見えるのが特徴です。
定義と分類
気象観測において煙霧は、発生源が特定できない、あるいは広範囲にわたる乾いた微粒子の浮遊状態を指します。発生源が明らかな場合(例:火山灰の降下や風じん)は、別の気象現象として分類されることがあります。日本国内の気象官署による観測では、視程が2km未満のものを「濃い煙霧」、1km未満のものを「非常に濃い煙霧」として記録します。
発生原因
煙霧の発生には、自然要因と人為的要因の両方が関与しています。
砂塵による煙霧
乾燥した地域で強風が吹く際、土壌粒子が巻き上げられることで発生します。中国やモンゴルの砂漠地帯を起源とする「黄砂」は、日本を含む東アジア広域に飛来する代表的な例です。また、西アフリカの「ハルマッタン」や地中海沿岸の「シロッコ」など、地域特有の風によって発生する煙霧も知られています。
火災による煙
森林火災や焼畑農業によって発生する煙も、広範囲に拡散し煙霧の原因となります。バイオマスの燃焼により生じる有機炭素(レボグルコサンなど)が指標となります。ロシア・シベリア地方の森林火災による煙が、偏西風に乗って北海道や東北地方に到達し、PM2.5濃度を上昇させる事例が複数報告されています。
人為的大気汚染
工業地帯や都市部では、自動車の排気ガスや工場からのばい煙が煙霧を引き起こします。これにはすす(黒色炭素)、硫酸塩、硝酸塩などが含まれます。大気汚染が主因である場合、一般的に「スモッグ」とも呼ばれます。
視覚的特徴
煙霧は、湿った微粒子で生じる「靄(もや)」とは区別されます。靄が灰色を呈するのに対し、煙霧は微粒子の性質や光の散乱により、背景が明るい場合は黄色や赤味を帯び、暗い場合は青味がかった色に見えることがあります。
よくある質問
煙霧と靄(もや)の違いは何ですか?
煙霧が発生するとどのような影響がありますか?
スモッグと煙霧は同じものですか?
関連記事
参考文献
- 気象庁「天気予報等で用いる用語 > 煙霧」
- 原田朗「煙霧」、『最新気象の事典』、1993年
- 気象観測の手引き、気象庁
- 北海道環境科学研究センター「PM2.5と森林火災」、『えころぶ北海道』第41号、2015年