天文学

HD 85512 b:ほ座の太陽系外惑星

HD 85512 b:ほ座の太陽系外惑星
ほ座の方向におよそ36光年離れた位置にある太陽系外惑星HD 85512 bの特徴や発見の経緯、居住性を巡る議論について解説します。

📌 主なポイント

  • HD 85512 bは、地球からほ座の方向に約36光年離れた位置にある太陽系外惑星である。
  • 下限質量は地球の約3.6倍であり、スーパーアースに分類される。
  • ヨーロッパ南天天文台のHARPSを用いたドップラー分光法によって2011年に発見された。

HD 85512 b(グリーゼ370bとも呼ばれる)は、K型主系列星であるHD 85512(グリーゼ370)の周囲を公転する太陽系外惑星である。

HD 85512 bの想像図
HD 85512 bの想像図

地球からはほ座の方向に約36光年離れた位置に存在している。

物理的特徴と軌道

この惑星の下限質量は地球の約3.6倍であり、スーパーアースに分類される。発見当時は、既知の系外惑星の中でも特に質量が小さい部類に属していた。

恒星からの平均距離(軌道長半径)は約0.26 auであり、公転周期は約58.43日である。アルベドを0.3と仮定した場合の放射平衡温度は約298 K(25 ℃)と推測されている。

HD 85512 bの軌道と恒星のハビタブルゾーン
HD 85512 bの軌道と恒星のハビタブルゾーン

居住性と気候の議論

2011年の発見発表と同時に、Kalteneggerらの研究グループによってこの惑星の居住可能性に関する検討が行われた。提案された条件を満たし、かつ一定の雲量や大気による熱分配が存在する場合には、ハビタブルゾーンの内縁付近に位置する居住可能な惑星の候補となり得ると議論された。

しかし、2013年にKopparapuらによって新しいハビタブルゾーンの算出モデルが発表されると、HD 85512 bはより高温なゾーンに位置づけられ、居住には適さない環境であると見なされるようになった。

発見の経緯

HD 85512 bは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)がチリのラ・シヤ天文台に設置しているESO 3.6m望遠鏡の高精度視線速度測定装置HARPSを用いたドップラー分光法によって発見された。

フランチェスコ・ペペを筆頭とする研究チームによる発見論文は、2011年8月にプレプリントサーバー上で公開され、同年10月に学術誌『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス』に掲載された。

よくある質問

HD 85512 bはどこにありますか?
地球からほ座の方向に約36光年離れた場所に位置しています。
HD 85512 bはどのように発見されましたか?
チリのラ・シヤ天文台にあるESO 3.6m望遠鏡の分光器HARPSを用いたドップラー分光法によって発見されました。
HD 85512 bは居住可能な惑星ですか?
発見当初は居住可能性が議論されましたが、2013年の研究によるハビタブルゾーンの再計算では高温なゾーンに分類され、居住に適さないと考えられています。

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参考文献

  • Pepe, F. et al. (2011). The HARPS search for Earth-like planets in the habitable zone: I – Very low-mass planets around HD20794, HD85512 and HD192310. Astronomy & Astrophysics, 534, A58.
  • Kaltenegger, L.; Udry, S.; Pepe, F. (2011). A Habitable Planet around HD 85512?. arXiv:1108.3561.
  • Kopparapu, R. K. et al. (2013). Habitable Zones around Main-sequence Stars: New Estimates. The Astrophysical Journal, 765, 131.