健康の概念と国際的変遷

📌 主なポイント
- ✓1948年の世界保健機関(WHO)憲章前文では、健康を身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であると定義している。
- ✓1966年の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第12条には、達成できる最高水準の健康を享受する権利が規定されている。
- ✓健康の社会的決定要因により、社会的地位や地域的な経済状況の違いが健康格差を生み出す要因となる。
健康(けんこう)とは、心身ともに様態が良好であり穏やかな状態であることである。身体の状態のみならず、精神の状態を表す時にも用いられ、疾病の予防や健康の保持・増進などは健康管理と呼ばれる。
健康の定義と概念の変遷
健康の概念として世界的に広く知られているのは、1948年に採択された世界保健機関(WHO)憲章の前文における定義である。
身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。
この定義は、健康に関連する権利が不可分かつ相互依存であることを示している。また、WHOは1999年の総会において新しい定義案を提案したものの、審議には至っていない。その提案では「身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態」であることが強調されていた。
健康権と国際的枠組み
世界保健機関は1948年の憲章において、達成可能な最上級の健康水準を楽しむことは人種や信条、政治理念、経済的・社会的状況に関わらず全人類の基本的権利の一つであると宣言している。1966年に国連総会で採択された経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)の第12条では、達成できる最高水準の身体的および精神的健康を享受する権利(健康権)が規定されており、政府に対して環境衛生の改善や疾病の予防・治療、医療の確保といった措置を求めている。
国際連合で2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の目標3においても、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活 aを確保し、福祉を促進する」ことが掲げられている。
健康の社会的決定要因と健康観
健康は個人の生活習慣だけでなく、社会的・経済的要因に強く影響を受ける。裕福で富の分布が公平な社会に暮らす人は健康水準が高い傾向にあり、社会的地位が低いと平均寿命が短く疾病が蔓延しやすい。こうした地域的・社会経済的要因によって健康状況に格差が生まれることは健康格差と呼ばれる。1986年の健康づくりのためのオタワ憲章では、平和、住居、教育、食糧、収入などが健康の前提条件として挙げられた。
また、個人が健康をどう捉えるかという主観的な基準は健康観と呼ばれ、社会構造や疾病構造の変化に伴い「病気と対置する健康」から「豊かな生活を送る上での資源としての健康」へと変化してきている。
健康に影響を与える主な要因
健康状態には、食事、運動、睡眠、嗜癖、医療などの様々な要素が深く関わっている。
- 食事: 栄養の過不足はいずれも健康に悪影響を及ぼし、飢餓や微量栄養素の欠乏の一方で、カロリーの過剰摂取は肥満や生活習慣病の要因となる。
- 運動: 適度な運動は生活習慣病リスクの低下やメンタルヘルスの向上に寄与する。
- 睡眠と休養: 適切な睡眠や休養の欠如は、身体的疾患やうつ病などの精神疾患の発生リスクを高めるとされている。
- 嗜癖: 過度な飲酒は生活習慣病や依存症の要因となり、喫煙は循環器系や呼吸器系にダメージを与えるほか受動喫煙を引き起こす。
よくある質問
世界保健機関(WHO)による健康の定義とは何ですか?
健康の社会的決定要因とは何ですか?
健康権とはどのような権利ですか?
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参考文献
- 世界保健機関憲章
- 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)
- 健康づくりのためのオタワ憲章
- 国際保健医療学 第3版 杏林書院
- 基礎から学ぶ健康管理概論 改訂第5版 南江堂