暦法

ヒジュラ暦の構造と歴史的背景

ヒジュラ暦の構造と歴史的背景
イスラム圏で使用されている純粋太陰暦であるヒジュラ暦の構造、月名、歴史的由来、および閏年の計算方法について解説します。

📌 主なポイント

  • ヒジュラ暦は、月の満ち欠けのみに基づく純粋太陰暦である。
  • 紀元は預言者ムハンマドのメッカからマディーナへの聖遷(ヒジュラ)があった西レ暦622年を元年としている。
  • 1年は12か月で構成され、約354日であるため、太陽暦に対して毎年約11日ずつずれる。

ヒジュラ暦(ひじゅられき、アラビア語: التقويم الهجري at-taqwīm al-hijrīy、英語: Hijri calendar)は、主にイスラム圏で使用されている暦法である。ヒジュラ太陰暦、あるいはイスラム暦とも呼ばれる。

月の満ち欠けの周期のみに基づく純粋な太陰暦であり、季節のずれを調整するための閏月を設けない点が太陰太陽暦とは異なる。そのため、太陽暦と比較して1年ごとに約11日ずつ季節がずれていくこととなる。

歴史的由来と制定

「ヒジュラ」とは、西暦622年に預言者ムハンマドとその教友たちがメッカからマディーナへ移住した出来事(聖遷)を指す。638年、第2代正統カリフであるウマル・イブン・ハッターブが、このヒジュラがあったユリウス暦622年を元年と定める新たな紀年法を制定した。

イスラム暦の第1月(ムハッラム月)の初日は、ヒジュラが起きた年の直後に訪れる新月の日とされている。クルアーンの規定により、1年の月数は12か月と定められ、恣意的な閏月の挿入が禁止されたため、純粋太陰暦としての性格が維持されることになった。

暦の構造と月名

太陰暦の1か月は朔望月(約29.5日)を基準としており、29日の「小の月」と30日の「大の月」がおおむね交互に繰り返される。1年は約354日となり、季節を反映しないため農事暦や財務暦としては不向きとされてきた。

ヒジュラ暦の12の月名は以下の通りである。

  • 第1月:ムハッラム
  • 第2月:サファル
  • 第3月:ラビーア・アル=アウワル
  • 第4月:ラビーア・アッ=サーニー(またはラビーア・アル=アーヒル)
  • 第5月:ジュマーダー・アル=ウーラー
  • 第6月:ジュマーダー・アッ=サーニヤ(またはジュマーダー・アル=アーヒラ)
  • 第7月:ラジャブ
  • 第8月:シャアバーン
  • 第9月:ラマダーン(断食月)
  • 第10月:シャウワール
  • 第11月:ズー・アル=カアダ
  • 第12月:ズー・アル=ヒッジャ(巡礼月)

閏年の仕組み

実際の月の観測に基づく伝統的な運用の一方で、天文学的な計算モデルでは30年を1周期として11回の閏日(最終月への1日の追加)が設けられる。これにより、暦と実際の月の運行との誤差が調整されている。

よくある質問

ヒジュラ暦とはどのような暦ですか?
月の満ち欠けの周期のみを基準とする純粋太陰暦であり、主にイスラム圏で使用されています。
ヒジュラ暦の年月はどのように数え始められましたか?
西暦622年の預言者ムハンマドによる聖遷(ヒジュラ)を契機として、第2代カリフのウマル・イブン・ハッターブによって制定されました。
ヒジュラ暦の1年は何日ですか?
平年は約354日であり、太陽暦に比べて毎年約11日ずつ短くなります。

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イスラム教太陰暦ユリウス暦グレゴリオ暦ムハンマド

参考文献

  • 渡邊敏夫『暦入門―暦のすべて』雄山閣出版、1994年。
  • 佐藤次高 著、岡田芳朗 編『暦の大事典』朝倉書店、2014年。
  • Leofranc Holford-Strevens 著、正宗聡 訳『暦と時間の歴史』丸善出版、2013年。