防災・安全教育
災害や緊急時に備える安全教育としての避難訓練の仕組みと事例

災害、火災、犯罪、戦争など多様な緊急事態を想定した避難訓練の目的、日本やアメリカでの実施事例、学校における取り組みと防災上の教訓を解説。
📌 主なポイント
- ✓避難訓練は、災害や犯罪などの緊急時に備えて避難経路や手順を覚えるための訓練である。
- ✓日本の学校では、年間を通して複数の避難訓練が実施され、「おかしも」などの標語で冷静な行動が促されている。
- ✓東日本大震災では、過去の訓練で避難先として使われていた施設で被害が発生した教訓がある。
- ✓アメリカでは銃乱射事件に備えた訓練が実施されているが、児童への心理的影響に関する課題も指摘されている。
避難訓練とは、災害、戦争、犯罪による攻撃、乗り物での事故といった様々な緊急事態を想定し、安全な場所への移動手順を身につけるための訓練である。避難経路の確認や、災害時のパニック状態の抑制、最寄りの避難所の把握を目的として実施される。

想定される災害や緊急事態の種類
避難訓練の対象となる事態多岐にわたり、地域や施設の特性に合わせて様々な想定で行われる。
- 火災:最も一般的な訓練の一つ。
- 自然災害:地震、津波、土石流、竜巻などが含まれる。
- 犯罪対策:テロリストや不審者の侵入を想定した訓練。
- 戦争:空襲やミサイル着弾を想定した退避訓練が実施される国もある。
日本における学校での取り組みと標語
日本の学校では児童生徒を対象に年間を通じて複数回の避難訓練が実施されている。例えば東京都の公立学校などでは教育課程において年間の実施回数が定められている。
学校現場では、避難時の心構えとして「おかしも(押さない、駆けない、喋らない、戻らない)」や「おはしもち」などの標語が用いられ、冷静な行動が促されている。
避難訓練に伴う実践的な消火・救命活動
避難訓練の実施時には、実地での体験を伴うプログラムが同時に行われることが多い。
- 消火訓練:水消火器を用いた初期消火の体験やバケツリレーの実施。
- 応急救命訓練:止血方法、AEDの使用手順、心臓マッサージや人工呼吸の手順確認。
防災上の教訓と課題
実際の災害時には、過去の訓練のあり方が避難行動に影響を与えることがある。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、岩手県釜石市の拠点避難所として指定されていた防災センターに避難した住民の一部が津波に巻き込まれる被害が発生した。事前に津波発生時の一次避難所ではなく二次的な防災センターを避難先として訓練を行っていたことが、住民の避難行動に影響を与えた事例として知られている。
海外における避難訓練の事例
アメリカ合衆国では、学校構内での銃乱射事件への対策として、銃器を所持した不審者の侵入を想定した訓練(アクティブ・シューティング・ドリル)が多くの学校で導入されている。一方で、こうした訓練が子どもたちに心理的負担やトラウマを残す場合があるとして、手法や内容の是非について議論がなされている。
よくある質問
避難訓練の主な目的は何ですか?
避難経路の確認、災害時のパニック抑制、非常時の手順や最寄りの避難所の把握を目的としています。
学校の避難訓練で使用される「おかしも」の意味は何ですか?
「押さない、駆けない、喋らない、戻らない」の頭文字をとったもので、避難時に冷静かつ安全に行動するための心構えを示しています。
アメリカの学校で行われている特徴的な訓練は何ですか?
銃乱射事件(スクールシューティング)に備えたアクティブ・シューティング・ドリルと呼ばれる不審者対応訓練が行われています。
関連記事
防災訓練避難所災害対策基本法消防法
参考文献
- 「土石流を想定、魚沼市竜光地区で避難訓練」『読売新聞』2004年11月28日。
- 「<震災1年>首都圏私鉄、一斉停止訓練 大地震に備え」『朝日新聞』2012年3月11日。
- 「「防災センター」なのに162人犠牲 教訓を伝承する元市長の悔恨」『朝日新聞』2024年3月10日。
- 天野珠路『写真で紹介 園の避難訓練ガイド』かもがわ出版、2017年。