旧帝国図書館の歴史と建築:明治から現代へ受け継がれる国立図書館の足跡

📌 主なポイント
- ✓帝国図書館は1897年に設置された、第二次世界大戦以前における日本唯一の国立図書館である。
- ✓前身である書籍館は1872年に文部省によって湯島聖堂内に設立され、東京における最初の近代的な公共図書館となった。
- ✓庁舎建築は1908年に第一期工事が竣工し、現在は国立国会図書館国際子ども図書館として活用されている。
帝国図書館(ていこくとしょかん)は、第二次世界大戦以前の日本において唯一存在した国立図書館である。1872年に設立された書籍館をその起源とし、1897年に正式に設置された。戦後の1947年に国立図書館と改称された後、1949年に国立国会図書館へと統合されて消滅した。その蔵書は現在の国立国会図書館に引き継がれている。
上野公園の丘に位置していたことから、通称として「上野図書館」の名称で長く親しまれ、多くの文豪や研究者が利用したことでも知られる。歴史ある庁舎建築は現在、国立国会図書館の支部図書館を経て、児童書の専門図書館である国立国会図書館国際子ども図書館として活用されている。
沿革と組織の変遷
帝国図書館の前身は、明治5年(1872年)に文部省によって湯島聖堂内に設置された書籍館である。東京における最初の近代的な公共図書館として発足したものの、財政難や管轄の変更に伴い、東京書籍館、東京府書籍館、東京図書館へと名称や運営主体が変遷した。
1885年には東京教育博物館と合併して上野に移転し、再び有料制への移行や独立を経て、1890年に東京図書館長に就任した田中稲城の尽力により、1897年に帝国図書館官制が公布されて正式に設立された。初代館長には田中稲城が就任し、研究図書館としての蔵書拡充に努めた。
大正期から昭和初期にかけては、文部省の図書館行政の拠点となり、1921年には館内に図書館員教習所が置かれた。同年、田中館長の更迭に伴い松本喜一が後任として就任し、戦中においても蔵書の疎開などを行いながら開館を継続した。
終戦後の1947年に国立図書館へと改称されたが、1948年に新設された国立国会図書館への統合が進められ、1949年4月に統合が完了して国立国会図書館支部上野図書館となった。
蔵書の形成と法定納本制度
設立初期の蔵書は、旧幕府の学問所や諸藩の蔵書から選り抜かれた約1万冊の図書を基礎としていた。その後、出版条例および出版法に基づく日本初の法定納本図書館として、国内ですべて出版される資料の納入を受け入れた。
納入された資料は学術的価値に応じて分類され、閲覧に供される資料や保存のみ行われる資料に分けられた。購入や国際交換による洋書の収集、さらには江戸町奉行所文書などの特殊コレクションも加えられ、1949年の国立国会図書館統合時点では約107万冊の蔵書を誇った。これらの歴史的蔵書は、1961年に永田町の新築中央館へと移管され、現在の国立国会図書館のコレクションの基礎となった。
庁舎建築の歴史と国際子ども図書館への再生
帝国図書館の新館庁舎は、上野公園内の東京音楽学校敷地内に建設され、1908年に第一期工事が竣工した。設計は久留正道らによるもので、鉄骨補強の煉瓦造り、地下1階地上4階建ての構造である。当初は東洋一の規模を誇るロの字型の巨大な建築が計画されたが、日露戦争後の財政難により計画の一部のみが完成するにとどまった。
1923年の関東大震災では建物に被害を受けたものの耐え抜き、1927年から1929年にかけて鉄筋コンクリート構造への改修と北側の増築工事(第二期工事)が行われた。現存する正面東側の閲覧室部分や南側の書庫などは、明治期の雰囲気を色濃く残している。
2000年から2002年にかけて行われた大規模な改修工事により、免震構造の導入やガラス張りのラウンジ棟の増設が行われ、歴史的建造物の外観や内装を極力保全しつつ、児童書専門の図書館である国立国会図書館国際子ども図書館として生まれ変わった。
よくある質問
帝国図書館はいつ設立されましたか?
帝国図書館は現在のどの施設につながっていますか?
「上野図書館」と呼ばれるのはなぜですか?
関連記事
参考文献
- 国立国会図書館 『帝国図書館の誕生』 2003年。
- 岩波書店編集部 編 『近代日本総合年表 第四版』 岩波書店、2001年。
- 東京市市史編纂係 編 『東京案内 下巻』 裳華房、1911年。