物理学史
重力の古典力学的説明の歴史

16世紀から19世紀にかけて提案された、重力を古典力学やエーテルの概念で説明しようとした物理学理論の歴史を概説します。
📌 主なポイント
- ✓16世紀から19世紀にかけて、重力をエーテルや流体モデルで説明する試みがなされた。
- ✓デカルトやホイヘンスによる渦動説は、重力を数学的に扱おうとした初期の試みである。
- ✓ニュートンは後に重力の力学的説明を放棄し、「私は仮説をつくらない」と宣言した。
- ✓これらの古典的理論は、現代の一般相対性理論によって取って代わられた。
16世紀から19世紀にかけて、科学者たちは天体の運行を支配する重力の起源を、当時の古典力学やエーテルの概念を用いて説明しようと試みました。これらの理論は、現代の一般相対性理論以前の物理学において重要な役割を果たしましたが、現在では支持されていません。

渦動説
ルネ・デカルトは、宇宙が「延長」と呼ばれる物質で満たされていると考え、天体の運動を流体の渦によるものと説明しました。クリスティアーン・ホイヘンスはこの理論を数学的に発展させ、エーテル粒子の密度差が重力を生むモデルを構築しました。しかし、これらのモデルはニュートンの万有引力の法則が示す逆二乗則やケプラーの法則を十分に説明できませんでした。
掩蔽説と流体説
掩蔽説は、空間を飛び交う粒子が物体によって遮られることで引力が発生すると考えるモデルです。ニコラス・ファシオ・デ・デュリエールやジョルジュ=ルイ・ルサージュらが提唱しました。一方、流体説は物質がエーテルを吸収することで引力が生じると考えました。これらの理論は、エネルギー保存則への抵触や、力の伝達速度の問題などから批判を受けました。
その他の仮説
他にも、エーテルの波による波動説や、物体の脈動(共振)を仮定したモデルなどが検討されました。アイザック・ニュートン自身も初期には重力エーテルの流体モデルを考察しましたが、後に「私は仮説をつくらない」と述べ、重力の力学的説明を放棄しました。
よくある質問
なぜこれらの理論は現在支持されていないのですか?
観測事実との不一致、エネルギー保存則への抵触、および一般相対性理論による重力のより正確な記述が確立されたためです。
ニュートンは重力の起源についてどう考えていましたか?
初期には流体エーテルのモデルを検討しましたが、後に力学的な説明を放棄し、その原因については読者の考察に委ねる姿勢を示しました。
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参考文献
- C・ロヴェッリ『すごい物理学講義』河出文庫、2019年、74頁。