音楽におけるヒット曲の概念と歴史的変遷
📌 主なポイント
- ✓ヒット曲とは、ポピュラー音楽の分野で広く流行した楽曲や、チャートで一定の成果を収めた楽曲を指す。
- ✓1914年の「カチューシャの唄」は、日本における近代的な流行歌の先駆けであり、日本初のヒット曲とされる。
- ✓佐藤千夜子は1928年前後に「波浮の港」などを通じて10万枚を売り上げ、日本最初期のヒット歌手とみなされている。
- ✓2020年頃からは、サブスクリプション型ストリーミングサービスの再生回数「1億回」が新たな大ヒットの基準の一つとして浮上している。
ヒット曲とは、ポピュラー音楽の分野において大衆の人気を集め、社会的に広く流行した楽曲を指す言葉である。また、レコードやCDの販売枚数、音楽配信のダウンロード数、ストリーミングサービスの再生回数など、各種音楽チャートにおいて一定以上の実績を記録した楽曲を意味することもある。
ただし、チャート上で何位以内にランクインすればヒットとみなされるか、あるいは物理メディアやデジタル配信の売上が何枚に達する必要があるかといった明確な定量的基準は存在しない。時代の技術革新やメディア環境の変化に伴い、ヒットの測り方は多様に変化してきた。
日本における初期のヒット曲の歴史
日本における近代的な流行歌の黎明期として、1914年(大正3年)に発表された「カチューシャの唄」が挙げられる。劇団芸術座の公演『復活』の劇中歌として島村抱月や相馬御風が作詞を手掛け、中山晋平が作曲したこの楽曲は、伝統的な邦楽や童謡・唱歌とは異なるスタイルを持ち、日本初のヒット曲とされることが多い。
その後、1927年(昭和2年)に日本ビクターが設立され、1928年(昭和3年)には国内での最初期の商業レコードが発売された。歌手の佐藤千夜子は「波浮の港」や「東京行進曲」などのレコードを制作し、10万枚を超える売上を記録したことで、日本最初期のヒット歌手のひとりとして位置づけられている。
物理メディアからデジタル・ストリーミングへの移行と基準の変化
日本の音楽市場において、1989年以降は日本レコード協会が音楽ソフトの出荷枚数に応じてゴールドディスク認定を行っている。長年にわたり、シングルCDの売上において100万枚を達成した作品は「ミリオンセラー」と呼ばれ、大ヒットの象徴的な基準とされてきた。
しかし、2000年代以降は着うたやインターネットによるダウンロード販売、動画共有プラットフォームなど、音楽への接触経路が多様化した。これにより、CDのセールス実績のみで楽曲の流行を測ることが困難になった。さらに2010年代半ば以降は、Apple MusicやSpotifyといったサブスクリプション型のストリーミングサービスが普及し、音楽聴取の主流が所有から利用へと移行した。
音楽ジャーナリストの柴那典の分析によれば、2020年頃にはヒット曲の創出基盤がCDからストリーミングへ完全に移行し、かつての「売上100万枚」に代わり、再生回数「1億回」が新たな大ヒットの基準として認識されるようになっている。
欧米におけるヒット基準の傾向
アメリカ合衆国においては、国内の主要な音楽チャートである「Billboard Hot 100」の上位40位以内にランクインすることが、一つのヒットの目安として捉えられてきた。
また、イギリスにおいては、オフィシャル・チャート・カンパニー(OCC)が発表する全英シングルチャートにおいて、上位75位以内に少なくとも1週間以上チャートインすることがヒットの一般的な条件としてみなされている。
よくある質問
ヒット曲の定義は何ですか?
日本初のヒット曲は何とされていますか?
ストリーミング時代のヒットの新しい基準は何ですか?
関連記事
参考文献
- 日本国語大辞典,デジタル大辞泉, 精選版. “ヒットソングとは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年6月25日閲覧。
- “ヒットソング(hit song)の意味・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書”. goo辞書. 2023年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月25日閲覧。
- “日本初のヒット曲「カチューシャの唄」を流行させた島村抱月の驚くべきプロモーション手法”. ダイヤモンド・オンライン (2013年9月20日). 2022年5月25日閲覧。
- 株式会社ローソンエンタテインメント. “日本の流行歌スターたち(7)佐藤千夜子 波浮の港~君恋し”. HMV&BOOKS online. 2022年2月13日閲覧。
- “山形県天童市/著名人/佐藤千夜子”. 山形県天童市公式ホームページ. 2022年2月13日閲覧。
- “本当の「ヒット曲」は、どこに隠れているのか | ゲーム・エンタメ”. 東洋経済オンライン (2016年2月23日). 2021年2月4日閲覧。
- “「1億回」が“ヒットの新基準”、2020年の大ヒット曲とその理由(柴 那典) @gendai_biz”. 現代ビジネス. 2021年2月4日閲覧。