放電灯の構造と歴史的展開
📌 主なポイント
- ✓放電灯は、気体中の放電発光を利用した電灯の総称であり、高圧放電灯と低圧放電灯に大別される。
- ✓炭素アーク灯は1808年にハンフリー・デービーによって実験が行われ、1862年に灯台の光源として実用化された。
- ✓日本においては1882年に東京の銀座でアーク灯が点灯され、市民の大きな注目を集めた。
- ✓高圧放電灯は1970年頃からHIDランプとも称されるようになり、水銀灯やメタルハライドランプなどが含まれる。
放電灯(ほうでんとう、英: discharge lamp)は、広義には気体中の放電現象を利用した発光を行う電灯の総称である。狭義には炭素アーク灯などのアーク灯と区別されることもあるが、いずれも放電による発光機構を基本としている。放電灯は大きく高圧放電灯と低圧放電灯に分類される。
放電灯とアーク灯
広義の放電灯は放電発光を利用した電灯全般を指すが、炭素アーク灯は一般的な放電灯に比べて管長が短く、大電流を流す性質を持つため区別されることがある。しかし、陰極低下や力率の低下、安定抵抗が必要となる点など、電気的な性質においては放電灯と共通する特徴を持つ。
炭素アーク灯の仕組みと歴史
炭素アーク灯(カーボンアーク灯)は、2本の炭素棒を電極として用い、その両極間にアーク放電を生じさせて発光させる電灯である。放電によって加熱された炭素棒の先端が気化し、発生した炭素蒸気がアークによって白熱することで強い光を放つ。1808年にイギリスの化学者ハンフリー・デービーが実験を行い、1862年にはイギリスのダンジネス灯台で実用化された。
19世紀後半には街路灯として広く普及したが、光が強烈であり、紫外線を含み、騒音や激しい消耗を伴うため屋内照明には適さなかった。日本においては、1878年に工部大学校のホールで点火された記録があり、1882年には東京電燈会社設立事務所が銀座でアーク灯を点灯して大きな話題となった。
高圧放電灯
高圧放電灯は、封入する物質の種類によって高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、キセノンランプなどに分かれる。1970年頃からはHIDランプ(高輝度放電ランプ)とも呼ばれるようになった。
水銀灯とその他の高圧放電灯
水銀灯はガラス管内の水銀蒸気中の放電発光を利用したものであり、蒸気圧が低い状態では遠紫外線が強く、高圧になると可視光線スペクトルが強くなって高効率な照明となる。また、発光管に水銀や不活性ガス、ハロゲン化物を封入するメタルハライド灯や、蒸気圧約0.1気圧のナトリウムを封入した高圧ナトリウム灯などが知られている。
低圧放電灯
低圧放電灯には、蛍光ランプ、低圧ナトリウムランプ、希ガス放電ランプ(ネオンランプを含む)が含まれる。蛍光ランプは代表的な低圧放電灯であり、熱陰極型と冷陰極型が存在する。低圧ナトリウムランプはU字型の細長い管に低圧のナトリウムとアルゴンを封入した構造を持つ。