生物学

保護色(生物学)

保護色(生物学)
保護色(クリプシス)は、生物が周囲の環境に溶け込み、捕食者や獲物から見つかりにくくするための適応戦略です。その仕組みや具体例を解説します。

📌 主なポイント

  • 保護色(クリプシス)は、生物が周囲の環境に溶け込み、見つかりにくくするための適応戦略である。
  • カウンターシェーディングや分断色など、環境に応じて多様な視覚的メカニズムが存在する。
  • 工業暗化のように、環境の変化に伴って保護色の適応が進化・変化する例も確認されている。

保護色(ほごしょく、英: protective coloration)とは、生物が自身の体色や模様を周囲の環境と似せることで、捕食者や獲物から見つかりにくくする適応現象のことです。生物学の専門用語ではクリプシス(Crypsis)とも呼ばれます。語源はギリシア語の「隠す」「秘密」を意味するkrypsisに由来します。

保護色の主な仕組み

生物が背景に溶け込むための手法は多岐にわたります。主な手法として以下のものが挙げられます。

カウンターシェーディング(陰影の打ち消し)

多くの動物で見られる手法で、立体的な体による影を打ち消す効果があります。背中側を濃く、腹側を薄い色にすることで、上からの光による影を視覚的に相殺し、輪郭を不明瞭にします。魚類や鳥類など、上下から視認される可能性のある生物に多く見られます。また、サカサナマズのように腹側を上にして泳ぐ生物では、この配色が逆転している例もあります。

背景への同調

砂浜に生息するカニが砂粒のような模様をしていたり、極地に住むホッキョクグマが白い体毛を持っていたりするように、生息地の背景色や模様に自身の体色を合わせる手法です。

分断色

大柄で派手な模様を持つことで、生物の輪郭を分断し、背景の中で個体の形を認識しにくくさせる手法です。草原や森林など、背景に明暗のコントラストがある環境で有効です。

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よくある質問

保護色と擬態の違いは何ですか?
保護色は主に体色や模様によって背景に溶け込むことを指しますが、擬態は姿形や行動を含めて、他の生物や物体に似せることで生存に有利な状況を作り出すことを指します。
深海魚の赤い体色は保護色になりますか?
はい。海中では波長の長い赤色の光が深層まで届かないため、深海において赤い体色は黒色と同様に目立たず、保護色として機能します。
体色を変化させる生物はどのようなものがいますか?
タコやイカ、カメレオン、ヒラメなどが有名です。これらは周囲の環境や自身の体調、気温の変化に応じて体色や皮膚の凹凸を変化させることができます。

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参考文献

日本動物学会編『動物学の基礎』および関連する生態学の学術資料に基づく。