疑似科学・オカルト

地球空洞説の歴史と科学的背景

地球空洞説の歴史と科学的背景
地球空洞説の概念、歴史、神話における起源、そして物理学や測地学的な検証結果について解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 地球空洞説は、地球の内部が空洞であるか別世界に通じているとする概念である。
  • ニュートンの万有引力の法則によれば、球殻の内側では無重力状態となるため、物理的な居住は不可能である。
  • 近代科学の発展に伴い、測地学や地質学において疑似科学として退けられた。

地球空洞説(ちきゅうくうどうせつ、Hollow Earth)とは、我々の住む地球が中身の詰まった球体ではなく、内部が空洞であるか、あるいは別世界へ通じているとする概念である。古くから神話やファンタジーの世界で語られてきたほか、近代においては独自の宇宙観や地球観を主張する仮説として一部で提唱された。

神話と古代の思想

歴史的に、多くの神話や宗教的伝統において地下世界(Underworld)の存在が示唆されてきた。古代ギリシアの死生観では冥界が地下に置かれ、北欧神話にはスヴァルトアールヴヘイムなどが登場する。また、北アメリカ南西部の先住民族の間では、地下に複数の層からなる世界が広がり、祖先がそこから地上へ現れたとする伝承が存在する。

ハレーの提唱した空洞地球のモデル
ハレーの提唱した空洞地球のモデル。地球内部にはひとつの中心核と二層の中空の球核があり、それらが空気を挟んで隔てられて浮かんでいる。
オイラーが提唱したとされる空洞地球のモデル
オイラーが提唱したとされる空洞地球のモデル。地球の中心には直径1000kmほどの輝く星がある。

近代以降の展開と科学的検証

大航海時代以降の地理学的発見や、20世紀における近代科学の飛躍的な発展により、地球内部構造に関する実証的なデータが集積された。測地学や地質学の分野では長期間にわたって検討が行われたが、現代の科学においては疑似科学として扱われている。

物理学の観点から、アイザック・ニュートンの万有引力の法則によれば、球状に対称な凹面の殻の内部では、殻の厚さに関わりなく全ての地点で無重力となることが示されている。このため、空洞内の地表に人間や建物が存在するような環境を物理的に維持することは不可能である。

凹面の地球理論

「我々が中空の惑星の外部表層に住んでいる」とする通常の空洞説とは逆に、「我々の世界は凹面の内部に存在する」と主張する凹面地球モデルも現れた。19世紀アメリカのサイラス・リード・ティードは独自の宇宙起源論を提唱し、後にドイツの研究者がこれを応用した試みを行ったとされる記録なども残されている。

凹面地球のアイデアを示す図
「凹面」地球のアイデア。外側の茶色の部分が地面で、内側に開いた部分が空であるとする考え方。

よくある質問

地球空洞説とはどのような説ですか?
地球が中身の詰まった球体ではなく、内部が空洞であり、地底に世界や文明が存在するという考え方です。
地球空洞説が科学的に否定されているのはなぜですか?
ニュートンの万有引力の法則により、球殻の内部では重力が打ち消し合って無重力になることや、地震波の解析等による内部構造の解明が進んだためです。

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参考文献

  • 新潟工科大学 情報電子工学科 竹野茂治「地球の重力について」2013年。
  • マーティン・ガードナー『奇妙な論理 だまされやすさの研究』早川書房、2003年。