技術・工芸
琺瑯(ほうろう)の構造・歴史・特徴について

鉄やアルミニウムなどの金属表面にガラス質を焼き付けた琺瑯(ほうろう)の歴史、特徴、利点と欠点について解説する百科事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓琺瑯は金属表面にシリカを主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けたものである。
- ✓紀元前1425年ごろの製品がミコノス島で発見されるなど、歴史は非常に古い。
- ✓金属の耐久性とガラスの耐食性を併せ持ち、食器や看板、工業用タンクなどに利用される。
琺瑯(ほうろう)とは、鉄やアルミニウムなどの金属材料の表面に、シリカ(二酸化ケイ素)を主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けたものである。難解な漢字であることから「ホーロー」とカタカナで表記されることも多い。英語ではエナメル(Enamel)と呼ばれ、「琺瑯」という言葉は古代ヨーロッパを指した仏菻や佛郎などの音写に由来すると考えられている。
金属材料が持つ機械的耐久性と、ガラス質が持つ化学的耐久性を併せ持っている点が最大の特徴であり、食器や調理器具、浴槽などの家庭用品をはじめ、屋外広告看板、道路標識、鉄道設備用品、ホワイトボード、化学反応容器、時計の文字盤など、多岐にわたる分野で利用されている。なお、工芸品としての琺瑯は七宝と呼ばれ、おもに銅や銀、金などが素地として使用される。

その歴史は非常に古く、紀元前1425年ごろに製作されたと推測される世界最古の琺瑯製品とおぼしき加工品がミコノス島で発見されているほか、古代エジプトのツタンカーメンの黄金のマスクの表面にも琺瑯加工が施されている。その後、技術がヨーロッパやアジア方面へ伝播し、16世紀ごろには朝鮮半島を経て日本へと伝わったといわれている。

特徴と利点
琺瑯製品には、材質の特性に由来する多くの利点が存在する。
- 特有の光沢があり美観に優れるため、高級感のある製品に用いられる。
- 表面に雑菌が繁殖しにくく、化学変化を起こさないため衛生面で優れている。また、油分がしみ込まず、においの強い食材を入れてもにおいが移りにくい。
- 酸や塩分に強く、コンタミネーションを防ぐ目的で反応槽や酒造タンクとして広く利用されている。
- 金属の下地により陶製品よりも熱伝導率や放熱性に優れ、耐熱器具に適している。
- 鉄を下地とした場合、電磁調理器に対応した製品の制作が可能である。
- プラスチック製品とは異なり、内分泌攪乱物質を排出しない。
- 適度な親水性と平滑なガラス層を併せ持つため、ホワイトボードやエクステリア、トンネルパネル、かつての電車の行先案内板(サボ)や屋外広告版などに活用されてきた。
欠点と取り扱いの注意
一方で、金属とガラスを組み合わせた構造上、特有の弱点や取り扱いの難しさもある。

- 製造時に釉薬が掛かり切らなかった部分や、使用によって釉薬が欠けた部分が水分や塩分に長期間さらされると、さびが発生する場合が多い。
- 中身が金属であるため、一般的な琺瑯製品は電子レンジで使用できない。
- 陶磁器ほどではないものの耐衝撃性には慎重さが求められ、鍋製品では蓋と口の接触部分から破損することが多い。
- 金属と釉薬の熱膨張率の違いから急激な熱変化に弱く、ひび割れ(クレイジング)を生じることがある。また、金属製の調理器具と相性が悪く金属痕が残りやすい。
よくある質問
琺瑯の英語名は何ですか?
英語ではエナメル(Enamel)と呼ばれます。
工芸品の琺瑯は何と呼ばれますか?
工芸品の琺瑯は七宝と呼ばれ、銅や銀、金などが素地として使われます。
琺瑯製品は電子レンジで使用できますか?
中身が金属であるため、一般的な琺瑯製品は電子レンジで使用できません。
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七宝エナメルホーロー看板日本琺瑯工業会
参考文献
1. 琺瑯の歴史について(濱田利平) - 神鋼環境ソリューション労働組合
2. 琺瑯をいつまでも美しく使っていただくために - 野田琺瑯株式会社
3. ホーローまめ知識 - 日本琺瑯工業会