林業・森林生態学

萌芽更新:樹木の伐採と森林再生の仕組み

萌芽更新:樹木の伐採と森林再生の仕組み
樹木の伐採後に根株の休眠芽から森林を再生させる手法「萌芽更新(コッピシング)」の仕組みや歴史、日本の里山における役割について解説します。

📌 主なポイント

  • 萌芽更新とは、樹木を伐採した後に残る根株の休眠芽から成長を促して森林を再生させる手法である。
  • 地上1m以上の高い位置で伐採して萌芽させる手法は、頭木更新や台株更新と呼ばれる。
  • かつての日本の里山において、薪炭の供給源として普遍的に利用されていた。
  • 和歌山県や高知県などのウバメガシ林では、備長炭の原料供給林として萌芽更新技術が活用されてきた。

萌芽更新(ほうがこうしん、英語: Coppicing)とは、樹木の伐採後、残された根株に残る休眠芽の生育を促すことで森林の再生を図る森林施業および自然現象のことである。

萌芽によって更新中のハンノキ属の切り株
萌芽によって更新中のハンノキ属の切り株

概要と仕組み

萌芽が活発な広葉樹などを伐採した翌年には、残された根株から休眠していた芽がびっしりと成長を始める。これが再び育つことで新たな森林を形成するのが萌芽更新の基本的なプロセスである。

また、樹木が伐採されて地表に太陽光が届くようになると、周囲に落下していた種子からの天然更新も並行して進むことがある。萌芽更新による森林は、定期的な伐採を行っても再生を繰り返すことが可能であり、かつては持続可能な資源供給源として活用されてきた。

台伐り萌芽による更新
台伐り萌芽による更新

日本の里山と萌芽更新

かつて日本の里山においては、薪や炭などの生産を行うために萌芽更新による森林が普遍的に見られた。しかし、エネルギー革命の進展に伴う化石燃料の普及や、スギ・ヒノキの人工林への転換が進んだことで、多くの萌芽更新林は姿を消していった。

なお、地上1メートル以上の比較的高い位置で伐採や剪定を行い、萌芽を発生させて更新させる手法は頭木更新台株更新(英語: pollard)と呼ばれ、そこで発生した萌芽は台伐り萌芽と称される。

主な適用例と樹種

樹種や樹齢によって萌芽の勢いは異なり、一般に老木よりも若木の方が活発に萌芽するため、確実な更新のためには若木のうちに伐採を行うことが多い。

具体的な事例として、和歌山県南部、高知県、徳島県南部などでは、備長炭の原料となるウバメガシ林が萌芽更新によって長年維持されてきた。紀州には長期間にわたり萌芽更新されてきたとされるウバメガシの株が存在しているほか、徳島県南地域には大正時代の文献に記録される「海部の樵木林業」のように、特定の太さの幹のみを伐採する「択伐矮林更新法」を用いた生産性の高い薪炭林施業も伝わっている。

よくある質問

萌芽更新とはどのような手法ですか?
樹木を伐採した後に、残された根株の休眠芽から新しい芽を出させて成長させ、森林を再び再生させる方法です。
頭木更新(台株更新)との違いは何ですか?
通常の地際付近での伐採に対し、地上1m以上の比較的高い位置で伐採や剪定を行って萌芽を発生させる手法を特に頭木更新や台株更新と呼びます。
どのような樹種や樹齢で効果的ですか?
主に萌芽が活発な広葉樹で見られます。また、老木よりも若木の方が活発に芽を出すため、確実な更新が期待できます。

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参考文献

  • “産業・文化遺産として見直そう、あがりこ 日本における台伐り萌芽の系譜 —その背景と生態、そして保護—”. 2013年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月22日閲覧。