物理学

放射能の基礎概念と物理的性質

放射能の基礎概念と物理的性質
放射能の定義、放射性崩壊の仕組み、測定方法、単位(ベクレルとキュリー)、および放射線防護に関する基礎知識を解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 放射能とは、放射性同位元素が放射性崩壊を起こして別の元素に変化する性質をいう。
  • 放射能の単位であるベクレル(Bq)は、毎秒1個の原子が放射性崩壊する速さを表す。
  • 放射能の測定には、放出される放射線の種類やエネルギーに応じた各種検出器が用いられる。

放射能(英: Radioactivity)とは、放射性同位元素が放射性崩壊を起こして別の元素に変化する性質、またはその能力を指す言葉である。原子核が量子力学的なバランスの不釣り合いを解消するため、アルファ線やベータ線、ガンマ線などの放射線を放出して他の核種へと変化する現象を放射性崩壊と呼ぶ。

放射性標識の図
放射性標識。病院や診療所のレントゲン撮影室などの放射線発生場所に表示される。

放射性崩壊と放射能の単位

放射性崩壊によって放出された粒子や電磁波は高いエネルギーを持っており、これを崩壊エネルギーと呼ぶ。崩壊エネルギーは最終的に熱エネルギーへと変質する。

単位時間あたりに放射性崩壊する原子の個数(放射性崩壊の速さ)を、その放射性物質の放射能(activity)と呼ぶ。国際単位系(SI)における単位としてはベクレル(Bq)が用いられており、1ベクレルとは毎秒1個の原子が放射性崩壊を起こしている状態を意味する。歴史的にはキュリー(Ci)という単位も用いられてきた。

ウラン鉱石による写真乾板の感光
ベクレルが偶然近くに置いたウラン鉱石が写真乾板を感光させたことによって、放射能は発見された。金属製マルタ十字の影が映り込んでいる。

放射能の測定

放射能の値を直接測定することは困難なため、測定対象から放出される放射線の数やエネルギーを検出し、間接的に放射性物質の量を求める手法が一般的である。

  • α線:液体シンチレーションカウンタや半導体検出器などを用いて測定される。
  • γ線:ゲルマニウム半導体検出器やNaIシンチレーションカウンタなどが用いられる。
  • 表面汚染:ガイガー=ミュラー検出器などが利用される。

放射線障害と防護

物質から放出される放射線を浴びることを被曝といい、外部被曝と内部被曝に大別される。放射線障害を防ぐため、法令によって人体が受ける線量限度が定められており、遮蔽、距離の確保、被曝時間の管理などが基本的な防護手段とされる。

よくある質問

放射能と放射線の違いは何ですか?
放射能は放射線を出す「性質や能力」そのものを指し、放射線は放射性崩壊に伴って放出される粒子や電磁波そのものを指します。
ベクレルとはどのような単位ですか?
放射能の強さを表す単位であり、1秒間に1個の原子核が放射性崩壊を起こす崩壊数を表します。

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参考文献

日本アイソトープ協会(編) 『放射線・アイソトープ 講義と実習』 丸善、1992年。
草間朋子(編) 『看護実践に役立つ放射線の基礎知識』 医学書院、2007年。