化学

ヨウ化水素の化学的性質と製法に関する解説

ヨウ化水素の化学的性質と製法に関する解説
ヨウ化水素の物理的性質、化学的性質、製法、およびヨウ化水素酸に関する専門的な解説。

📌 主なポイント

  • 化学式は HI で表されるハロゲン化水素の一種である。
  • 水に非常に溶けやすく、その水溶液はヨウ化水素酸と呼ばれる。
  • pKa は約 −10 であり、極めて強い酸性を示す。
  • 日本では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。

ヨウ化水素(ヨウかすいそ)とは、化学式 HI で表される無機化合物であり、ハロゲン化水素の一種である。強い刺激臭を持つ無色の気体であり、日本の毒物及び劇物取締法においては劇物に指定されている。

ヨウ化水素の分子モデル
ヨウ化水素の分子モデル

物理的および化学的性質

ヨウ化水素の分子量は 127.91 g·mol−1、融点は −50.80 °C、沸点は −35.36 °C である。水に対して極めて溶解しやすい性質を持ち、その水溶液はヨウ化水素酸と呼ばれる。一般的には57%の水溶液として市販されている。

ヨウ化水素の構造式
ヨウ化水素の構造式

水素とヨウ素の間では電気陰性度の差が小さく分子の極性は小さいが、ヨウ化物イオンのイオン半径が大きく水素イオンとの静電気力が小さいため電離しやすく、水中で強い酸性を示す。酸解離定数 pKa は −10 と見積もられており、代表的な強酸の一つに数えられる。

ヨウ化水素の電離平衡
ヨウ化水素の電離平衡
標準反応 enthalpy 変化
標準反応エンタルピー変化

また、還元力が強く、空気中の酸素に触れると容易に酸化されてヨウ素を遊離し、赤紫色を呈する特徴を持つ。

NFPA 704による危険性表示
NFPA 704による危険性表示

製法

ヨウ化水素の合成法としては、ヨウ素と水の混合物に冷却しながら赤リンを加える方法が知られている。この反応によりヨウ化水素とリン酸が生成する。

赤リンとヨウ素の水との反応式
赤リンとヨウ素の水との反応式

主な化学反応

ヨウ化水素酸は有機合成において反応剤としても利用される。例えば、エーテルに作用させてエーテル結合を開裂させることで、アルコールとヨウ化アルキルを生成する反応が挙げられる。

エーテルとヨウ化水素の反応式
エーテルとヨウ化水素の反応式

よくある質問

ヨウ化水素とはどのような物質ですか?
強い刺激臭を持つ無色の気体であり、水に極めて溶けやすく、強力な酸性を示すハロゲン化水素です。
ヨウ化水素の水溶液は何と呼ばれますか?
ヨウ化水素酸と呼ばれ、通常は57%の水溶液などが市販されています。
ヨウ化水素の法的な扱いはどうなっていますか?
日本国内では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。

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参考文献

Bell, R.P. The Proton in Chemistry. 2nd ed., Cornell University Press, 1973. / Trummal, A. et al. J. Phys. Chem. A, 2016, 120, 3663-3669. / CRC handbook of chemistry and physics, 97th ed., 2016. / 毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)別表第二 八十七