化学
過酸化水素の化学的性質と多様な工業的応用

化学式H2O2で表される過酸化水素の性質、歴史、工業的利用、漂白剤や推進剤としての用途について解説する信頼性の高い事典記事。
📌 主なポイント
- ✓化学式は H2O2 であり、一般に過水と呼ばれる。
- ✓フランスの化学者ルイ・テナールによって発見された。
- ✓分解すると無害な水と酸素になるため、環境にやさしい酸化剤・漂白剤として工業的に広く利用されている。
過酸化水素(かさんかすいそ、英: Hydrogen peroxide)は、化学式 H2O2 で表される無機化合物である。しばしば「過水」と略称される。フランスの化学者ルイ・テナールによって発見された。通常は水溶液として扱われ、対象に応じて強力な酸化剤としても還元剤としても機能するため、殺菌や漂白など幅広い分野で利用されている。
化学的性質と反応
適切な濃度の水溶液は、常温では無色で水よりもわずかに粘度が高い弱酸性の液体であり、わずかにオゾンに似た臭気を発する。分子は不安定であり、容易に酸素を放出して水へと分解する性質を持つ。

実験室などでは、二酸化マンガンや生体内の酵素であるカタラーゼなどの触媒を用いることで、分解速度を大幅に高めて酸素を得るために用いられる。傷口の消毒時に発生する泡は、生体組織内のカタラーゼが触媒として作用し、過酸化水素が分解されて生じる酸素によるものである。
工業的および実用的な利用
過酸化水素の総消費量の大部分は、製紙業界におけるパルプの漂白、廃水処理、半導体の洗浄などの工業用途が占めている。塩素系漂白剤とは異なり、最終的な分解産物が水と酸素のみであるため環境負荷の低い物質として利用が拡大している。
また、衣料用酸素系漂白剤の主成分である過炭酸ナトリウムの原料としても用いられるほか、過去にはロケットや潜水艦(ヴァルター機関)、魚雷などの推進剤・酸化剤としても研究および実用化がなされた歴史を持つ。
よくある質問
過酸化水素の化学式は何ですか?
化学式は H2O2 です。
過酸化水素を発見したのは誰ですか?
フランスの化学者ルイ・テナールによって発見されました。
傷口の消毒時に発生する泡の正体は何ですか?
体内にある酵素カタラーゼが触媒として働き、過酸化水素が分解されて生じた酸素の泡です。
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参考文献
1. 曾根興三、「過酸化水素」、世界大百科事典、平凡社、1998年。
2. 佐藤一彦、「過酸化水素水を用いる環境調和型酸化反応」『有機合成化学協会誌』第60巻第10号、2002年。
2. 佐藤一彦、「過酸化水素水を用いる環境調和型酸化反応」『有機合成化学協会誌』第60巻第10号、2002年。