水文学(すいもんがく)の基礎と研究領域の全体像
📌 主なポイント
- ✓水文学(水文科学)は、地球上の水循環や陸地における水の分布・移動・水収支を研究する地球科学・自然地理学の一分野である。
- ✓1964年にユネスコによって、地球上の水の発生、循環、分布、環境や人間活動との相互作用を扱う科学として定義された。
- ✓理学、工学、農学などの多様な分野にまたがる学際的な研究領域として展開されている。
水文学(すいもんがく、hydrology)とは、地球上の水循環を主な対象とする地球科学および自然地理学の一分野である。主として陸地における水をその循環過程から捉え、地域的な水のあり方、分布、移動、および水収支などに主眼を置いて研究する科学であり、水文科学(hydrologic science)ともよばれる。
定義と国際的な位置づけ
水文学の定義は、国際連合教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)によって国際水文学10年計画(IHD)の発足前年にあたる1964年に次のように定められた。
「水文学とは地球の水を扱う科学、その発生、循環、分布、その物理的および化学的特性、またそれら特性の人間活動への反応を含めての物理的および生物的環境との相互作用を扱う科学である。すなわち水文学は地球上の水のサイクルのすべての歴史をカバーする分野である。」
このように、水文学は単なる水の所在の調査にとどまらず、自然環境や人間活動との相互作用を含めた幅広い動態を対象としている。
研究分野と学際的性格
水は生命維持に不可欠な物質であり、学問的対象としてだけでなく重要な水資源としても位置づけられている。現代社会における水資源・水環境に関連した課題に対応するためには、水循環についての正確で深い理解が不可欠である。
水文学は理学、工学、自然地理学、農学などの様々な領域にまたがり、横断的な研究領域としての性格をもつ。主な研究対象には、浸透、流出、蒸発散、地下水流動、湖沼や河道における流出といった水循環の各素過程のほか、それらの水質に関する事項や、地球規模の広域な水循環が含まれる。
関連する学問領域
広義の水文学は、関連する多様な学問領域を内包した総合的な学際領域として展開されている。
- 理学系:気象学、陸水学、湖沼学、地球化学、生物学など
- 工学系:土木工学における河川工学、水理学など
- 農学系:砂防学、灌漑工学、土壌物理学など
また、森林と水の関係を扱う森林水文学や、生態系と水循環の結びつきを研究する生態水文学などの専門分野も発展している。