自然現象

氷筍(ひょうじゅん)の概要と形成メカニズム

氷筍(ひょうじゅん)の概要と形成メカニズム
氷筍(ひょうじゅん)は、洞窟や寒冷地で水滴が凍結して上方へ成長する氷の結晶です。その形成過程や結晶構造、過去のスケートリンクへの応用について解説します。

📌 主なポイント

  • 氷筍は水滴が凍結して地面から上方へ伸びる氷の結晶である。
  • 結晶粒が内側から外側へ放射状に成長するため、根元を除き単結晶の氷となる。
  • 下方に伸びる「つらら」とは結晶構造や成長方向が異なる。
  • 1998-99年シーズン、長野五輪会場のエムウェーブで氷筍を用いたスケートリンクが試験的に製作された。

氷筍(ひょうじゅん)は、滴り落ちた水が凍結し、地面から上方に向かってタケノコのように伸びる氷の結晶体です。その形状が植物のタケノコに似ていることからこの名で呼ばれています。

1983年の対馬勝年らの提案によれば、氷の生成形態に基づき、水滴が凍結して下方に伸びるものを「つらら」、下から上方に伸びるものを「氷筍」、両者が接合したものを「氷柱」と分類することが提唱されています。

北海道登別市のカルルス氷筍洞窟で見られる氷筍
北海道登別市のカルルス氷筍洞窟で見られる氷筍

形成過程と結晶構造

氷筍は凸形の外形を持ち、その結晶粒は内側から外側へ放射状に成長する特徴があります。この成長過程により、根元付近を除いて内部から新しい結晶粒が入り込みにくく、単結晶に近い氷として形成されます。これは、多数の結晶粒で構成される多結晶体である「つらら」とは物理的な構造が大きく異なります。

氷筍の活用例

氷筍が単結晶の氷であるという特性を活かし、かつてスケートリンクの製氷に活用された事例があります。1998-99年シーズンには、長野オリンピックのスピードスケート会場であったエムウェーブにおいて、輪切りにした氷筍を敷き詰める手法でリンクが製作されました。ただし、この技術は記録の向上や維持の観点から、その後継続的な採用には至りませんでした。

よくある質問

氷筍とつららの違いは何ですか?
成長する方向が逆であることに加え、つららは多数の結晶粒からなる多結晶体であるのに対し、氷筍は単結晶に近い構造を持つ点が異なります。
氷筍はどのようにして成長しますか?
滴り落ちた水が地面で凍結し、結晶粒が内側から外側へ放射状に広がることで、上方へとタケノコのような形状に成長します。
氷筍がスケートリンクに使われたことはありますか?
はい。1998-99年シーズンに長野オリンピックの会場であるエムウェーブにて、氷筍を輪切りにして敷き詰めたリンクが製作された記録があります。

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参考文献

  • 竹内ほか「低温室にできた氷柱の結品構造」『新潟大災害研年報』第20号、新潟大学、1998年、137-142頁。
  • 「氷筍リンク」今季限り エムウエーブ、記録伸びず、信濃毎日新聞、1999年3月25日。