地球科学

氷床の基礎知識と惑星における分布

氷床の基礎知識と惑星における分布
地球や火星などの惑星における氷床の形成過程、現存および過去の分布、そして学術的な重要性について解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 氷床は総面積が5万平方キロメートル以上の氷塊の集合体を指す。
  • 太陽系内で氷床の存在が確認されているのは地球と火星のみである。
  • 地球上の現存する氷床は南極氷床とグリーンランド氷床の2つである。
  • 火星の氷床の主成分は水であることが探査により判明している。

氷床(ひょうしょう、英語: ice sheet)は、地表面がある天体の地表部を覆う、総面積5万平方キロメートル以上の氷塊の集合体を指す用語である。地球上の氷河分類においては、山岳氷河などを含めた広義の氷河の一部として位置づけられている。太陽系内の地球型惑星において氷床の存在が確認されているのは、地球と火星の2惑星のみである。

氷床の広がりを示す地形図やイメージ
氷床の広がりを示す地形図やイメージ

面積が5万平方キロメートル未満のものは氷帽と呼ばれる。国際雪氷委員会(ICSI)の分類表では、大陸氷床や氷帽、棚氷などを含めて細かく分類されている。

地球の氷床の形成と歴史

地球上の氷床は、降り積もった雪が徐々に固められ、さらなる降雪による圧密と層の重なりによって形成される。深部には当時の大気や環境成分が閉じ込められており、南極のドームふじ基地をはじめとする氷床コアの採取によって、過去の気候変動研究の重要な資料となっている。

氷床の構造や形成過程を解説する図解
氷床の構造や形成過程を解説する図解

地質学的な観点から、現在の地球は寒冷化しやすい大陸配置にある。北半球の高緯度地域には陸塊が多く分布し、氷河が発達しやすい環境にある一方、南半球では南極大陸が南極地域を占有し、周囲を南極環流が巡ることで暖流の流入が遮断されている。

南極大陸周辺の環境を示す衛星画像
南極大陸周辺の環境を示す衛星画像

現存する地球上の氷床は南極氷床とグリーンランド氷床のみであるが、最終氷期の最寒冷期には、北アメリカのローレンタイド氷床やヨーロッパ北部のスカンジナヴィア氷床などが存在していた。

過去の氷床分布を示す地図データ
過去の氷床分布を示す地図データ
グリーンランド氷床
グリーンランド氷床

火星の氷床

火星における氷床も、大気中の水分が地表に蓄積されて形成されたものである。火星の氷床は極域の極冠とほぼ同義として扱われ、長年の論争を経て、マーズ・サーベイヤー計画などの探査により主成分は凍結した水であることが判明している。

火星の極冠および氷床表面の地形
火星の極冠および氷床表面の地形

火星の軌道離心率の大きさに起因する日射量の振れ幅によって、氷床表面には特異な谷や成層構造が刻まれており、過去の気候変動や環境変化を読み解く手がかりとなっている。

よくある質問

氷床と氷帽の違いは何ですか?
面積が5万平方キロメートル以上のものを氷床、5万平方キロメートル未満のものを氷帽と呼びます。
地球上で現在存在している氷床はどこにありますか?
南極大陸にある南極氷床と、グリーンランドにあるグリーンランド氷床の2つが現存しています。
火星の氷床は何でできていますか?
過去の論争を経て、マーズ・サーベイヤー計画などの探査により、大部分が凍結した水で形成されていることが判明しています。

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参考文献

日本原子力研究開発機構 原子力用語辞典「氷床」および「氷帽」、ならびに各種惑星科学・地学の信頼できる学術的資料に基づき構成されています。