気象学
氷晶の物理化学と大気科学的特性

大気中や雲の中で形成される氷の結晶「氷晶」の物理化学的特性、形成条件、多様な結晶パターン、大気光学現象への影響について解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓氷晶とは氷の結晶のことであり、特に雲や大気中で形成される微小な粒子を指す。
- ✓大気中での氷晶形成には、氷点下の気温、氷晶核の存在、過飽和または水滴の浮遊状態が必要とされる。
- ✓約-42℃に達すると、氷晶核の有無にかかわらずほとんどすべての水滴が凍結する。
- ✓氷晶が太陽や月の光を屈折させることで、暈などの大気光学現象が発生する。
氷晶(ひょうしょう、ice crystal)とは、氷の結晶の総称であり、特に大気中や雲の中で形成される六角柱、六角板、樹枝状などの微小な氷の粒子を指すことが多い。雲や降水の形成において中心的な役割を果たすほか、太陽や月の周囲に見られる大気光学現象の原因ともなる。

形成の物理化学的条件
大気中で氷晶が形成されるためには、一般的に気温が氷点下(0℃以下)であること、氷晶核が存在していること、そして大気が過飽和の状態か水滴が浮遊している状態であることが必要条件となる。氷晶核が存在しない場合、条件が整っても水滴は過冷却状態を維持する。しかし、約-33℃以下になると氷晶核がなくても凍結が始まり、約-42℃に達するとほとんどすべての水滴が凍結する。
過冷却の水滴の中に氷晶が存在する場合、水滴の周囲のほうが飽和水蒸気圧が高いため水滴が蒸発しやすく、その水蒸気が氷晶へ昇華して急成長する(ライミング)。成長した氷晶は重力によって落下し、さらに周囲の小さな過冷却水滴や氷晶を捕捉しながら発達していく。


結晶のパターンと多様性
氷晶の形状は、氷晶核の種類、気温、湿度、気流などの組み合わせによって多岐にわたる。雲の中で生成された初期の氷晶や極寒時の細氷は、単純な六角板、六角柱、針状の形態をとることが多い。これらが成長して雪片などの複雑な構造へと変化していく。


大気光学現象への影響
雲の中にある氷晶は六方晶に由来する60度、90度、120度の面を共通して持つことが多く、これが太陽や月の光を屈折させる。これにより、暈(かさ)をはじめとする様々な円状や円弧状の大気光学現象が引き起こされる。
よくある質問
氷晶が大気中で形成されるための条件は何ですか?
気温が氷点下であること、氷晶核が存在していること、そして大気が過飽和の状態か水滴が浮遊している状態であることが必要です。
氷晶核がない場合、水滴はどのように凍結しますか?
約-33℃以下になると氷晶核がなくても凍結し始め、約-42℃になるとほとんどすべての水滴が凍結します。
大気光学現象はどのように発生しますか?
雲の中の氷晶が持つ六方晶に由来する面が、太陽や月の光を屈折させることで暈などの現象を引き起こします。
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参考文献
『光学技術ハンドブック』増補版、朝倉書店、1975年 ISBN 4-254-21007-8 §13.1気象光学 p.1112