氷堆丘(ドラムリン)の地形学と形成メカニズム

📌 主なポイント
- ✓氷堆丘(ドラムリン)は、氷河の堆積物によって形成される細長い非対称の小丘である。
- ✓長軸の方向は、氷堆丘を形成した氷河の流向と平行になる。
- ✓内部はティルと呼ばれる不揃いな砂礫層などで構成されている。
- ✓アイスランドのホーフス氷河などでは、実際に形成されつつある氷堆丘群が観測されている。
氷堆丘(ひょうたいきゅう)は、英語の「drumlin(ドラムリン)」に相当し、氷河の運動に伴って形成される特徴的な小丘群の総称である。名称の語源はアイルランド語で「小さな尾根」を意味する「droimnin」に由来する。北半球の高緯度地域やパタゴニアなど、かつて大規模な氷河が存在した地域に広く分布している。

形態と内部構造
氷堆丘は、食器のスプーンやレンゲを裏返しにしたような細長い非対称の形状をしており、1本の長軸に対して概ね左右対称をなす。この長軸の方向は、当時の氷河が流れていた方向と平行であることが知られている。
一般的な規模としては、長さ約1kmから2km程度、幅約300mから600m程度、高さは50m未満であり、長さと幅の比率は概ね7対4程度になることが多い。単独で存在することはまれで、多くは「氷堆丘群」と呼ばれる群れをなし、同じような規模や向きの丘が扇状に並んで配置されることが観察されている。

内部は主に、氷河によって削り出された多様なサイズの砂礫が混合したティル(底堆石)などの堆積物から構成されている。断面には複数の層が見られることがあり、これは氷河による砂礫の供給が複数回にわたって行われたことを示唆している。また、現在の地盤とは性質の異なる迷子石が含まれている場合もある。

形成メカニズムに関する諸説
氷堆丘の成り立ちについては、地質学者の間で複数の仮説が提唱されている。
- 氷河の後退・堆積説:氷河が短い距離を後退する際に、内部に含まれていた砂礫が取り残されて丘が形成されるとする説。エスカーやトンネル谷といった他の氷河地形との関連性が指摘されることもある。
- 氷床下洪水説:1980年代以降に提唱された説であり、氷河の底面に閉じ込められて高圧になっていた融水が解放され、凄まじい洪水を引き起こすことで一気に堆積物が削られ、あるいは並べられて形成されたとする見解。

形成現場の観測事例
アイスランドのホーフス氷河の縁辺部では、氷河の後退に伴って新たに氷堆丘が形成・成長しつつある様子が観察されている。確認された氷堆丘は数十個に及び、長さ約90m〜320m、幅約30m〜105m、高さ約5m〜10mほどの規模を持つ。こうした活動中の現場の調査は、地形学の発展において貴重な資料を提供している。
氷堆丘上の土壌と風化
形成されてからの時間が比較的浅い氷堆丘の表面では、薄い表土とその下層の底土、さらに風化をほとんど受けていない砂礫層というシンプルな層序を示すことが多い。一方、北アメリカのオンタリオ湖南岸地域など、更新世に形成されてから長期間経過している場所では、より厚く複雑な土壌層や粘土層が発達している場合がある。
よくある質問
氷堆丘の語源は何ですか?
氷堆丘の形状にはどのような特徴がありますか?
氷堆丘はどのような物質でできていますか?
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参考文献
- Menzies, J. (1979) quoted in Benn, D.I. & Evans, D.J.A. (2003) "Glaciers & Glaciation" p.431 Arnold, London.
- Dyke, A. S.; Morris, T. F. (1988). "DRUMLIN FIELDS, DISPERSAL TRAINS, and ICE STREAMS IN ARCTIC CANADA" The Canadian Geographer 32: 86.
- Johnson, M. D. et al. (2010). "Active drumlin field revealed at the margin of Mulajokull, Iceland: A surge-type glacier" Geology 38 (10): 943.