凍雨(とうう)の概要と気象メカニズム

📌 主なポイント
- ✓凍雨は、雨粒や解けかけの雪が落下中に再凍結してできる直径5mm未満の氷の粒である。
- ✓上空に気温の逆転層が存在し、地表付近に厚い冷気層がある環境で発生しやすい。
- ✓気象観測上、凍雨は霰や雹とは形成メカニズムや降水形態が異なる別の現象として扱われる。
凍雨(とうう、英: ice pellets)は、主に球形の透明または半透明な氷の粒が降る気象現象です。雨粒や解けかけの雪が、落下する途中で再び凍結することで形成されます。
性状と特徴
凍雨の直径は一般的に5mm未満であり、多くは約1〜4mmの範囲です。5mm以上のものは雹(ひょう)として区別されます。形状は球形が主ですが、凍結過程で内部の液体水が飛び出すことで突起が生じ、不定形や円錐形になることもあります。密度は氷の比重(約0.92)に近く、堅い地面に落ちると音を立てて弾むのが特徴です。

凍雨は非しゅう雨性の降水であり、主に高層雲や乱層雲から降ります。類似する固形降水である雪霰(ゆきあられ)や氷霰(こおりあられ)は、積雲や積乱雲から降るしゅう雨性の降水であるため、発生源や密度、脆さの点で明確に区別されます。

形成メカニズム
凍雨は、上空に気温の逆転層が存在する環境で発生します。具体的には、上空の暖気層(0℃以上)で融解した雨粒が、地表付近の厚い冷気層(0℃以下)を通過する際に再凍結することで形成されます。また、雪片が融解した後に再凍結するケースも存在します。地表付近の冷気層が薄い場合には、雨粒が過冷却状態のまま着氷性の雨として降り、地面に触れてから凍結する「雨氷」となることがあります。
観測と記録
日本では、天気予報において凍雨は雪の一種として扱われることが一般的です。気象観測の現場では、目視観測において「凍雨」として記録されますが、天気としては「あられ」として分類されます。航空気象の通報式(METAR)では「PL」という記号が用いられます。
国際的な呼称
英語圏では「ice pellets」が凍雨を指す標準的な名称ですが、アメリカ英語では「sleet」とも呼ばれます。ただし、イギリス英語において「sleet」は霙(みぞれ)を指すため、地域によって用語の定義が異なる点に注意が必要です。
よくある質問
凍雨と雹(ひょう)の違いは何ですか?
凍雨は天気予報では何と表現されますか?
英語で凍雨を何と呼びますか?
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参考文献
- 『最新気象の事典』東京堂出版, 1993年.
- 気象庁『気象観測の手引き』, 1998年(2007年改訂).
- WMO, "Ice Pellets", International Cloud Atlas, 2017.
- American Meteorological Society, "ice pellets", Glossary of Meteorology, 2016.
- 南雲信宏「凍雨の形成機構と微物理過程に関する研究」名古屋大学, 2019年.