物理化学
氷XVIの特性と生成方法
氷XVIは、2014年に報告された氷の多形の一つです。ネオンハイドレートから生成されるこの結晶構造の特性や、負の圧力下での安定性について解説します。
📌 主なポイント
- ✓氷XVIは2014年にFalentyらによって報告された氷の多形である。
- ✓sII型ネオンハイドレートからゲスト分子を取り除くことで生成される。
- ✓密度は0.81 g/cm³と非常に低い。
- ✓理論計算上、負の圧力下で熱力学的に安定する可能性がある。
氷XVI(ice XVI)は、水分子が形成する結晶構造の一つであり、氷の多形として分類されます。2014年にAndrzej Falentyらによって、ネオンハイドレート(包接水和物)からネオン分子を取り除く手法を用いて初めて生成が報告されました。
生成プロセス
氷XVIは、sII型と呼ばれる構造を持つネオンハイドレートを低温高圧下で作製し、その後、142 Kの温度環境で5日間かけて真空引きを行うことで得られます。このプロセスにより、ゲスト分子であるネオンがケージから排出され、空のケージ構造を持つ氷の結晶が残ります。
物理的特性
この結晶構造は、512ケージおよび51264ケージから構成されるsII構造を維持しています。氷XVIは、密度が0.81 g/cm³と極めて低いことが特徴です。
熱力学的な安定性
常圧環境下において、氷XVIは氷Ih相よりもエネルギー的に不安定であり、準安定相として扱われます。しかし、理論計算による研究では、負の圧力(-0.4 GPa以下)の条件下において、氷の安定相となる可能性が示唆されています。このように、負の圧力領域を含めた水の状態図において、熱力学的な安定領域を持つことが注目されています。
よくある質問
氷XVIはどのようにして作られますか?
sII型ネオンハイドレートを低温高圧下で作製し、142 Kで5日間真空引きすることで、ゲスト分子を取り除いて生成されます。
氷XVIの密度はどのくらいですか?
氷XVIの密度は0.81 g/cm³であり、他の氷の多形と比較して非常に低い値です。
氷XVIは常圧で安定していますか?
常圧では準安定相ですが、理論計算によれば-0.4 GPa以下の負の圧力下で安定相となることが報告されています。
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氷包接水和物結晶構造相図
参考文献
- Falenty, Andrzej; Hansen, Thomas C.; Kuhs, Werner F. (2014). "Formation and properties of ice XVI obtained by emptying a type sII clathrate hydrate". Nature 516 (7530): 231–233.
- Kosyakov, V. I.; Shestakov, V. A. (2001). "On the Possibility of the Existence of a New Ice Phase under Negative Pressures". Doklady Physical Chemistry 376 (4-6): 49–51.
- Conde, M. M.; Vega, C.; Tribello, G. A.; Slater, B. (2009). "The phase diagram of water at negative pressures: Virtual ices". The Journal of Chemical Physics 131 (3).