海洋学

氷山:定義、成因、および物理的特性

氷山:定義、成因、および物理的特性
氷山は氷河や棚氷から海へ分離した巨大な氷の塊です。その物理的性質、成因、分布、および航行への影響について解説します。

📌 主なポイント

  • 氷山の約90%は水面下に存在し、水上からは全体像を把握しにくい。
  • 氷山の成因は、北極圏の氷河由来と、南極圏の棚氷由来に大別される。
  • 国際海氷パトロール(IIP)が北大西洋の氷山を監視し、航行の安全を管理している。

氷山(ひょうざん、英語: iceberg)とは、氷河または棚氷から分離し、海に漂流している巨大な氷の塊を指します。氷山は海洋環境において重要な役割を果たすと同時に、船舶の航行に対しては重大な障害となり得ます。

南極海の氷山
南極海の氷山

物理的性質

氷の密度は約920 kg/m³であり、海水の密度(約1,025 kg/m³)よりもわずかに低いため、氷山はその体積の約90%を水面下に沈めて浮遊しています。このため、水上に出ている部分から水中の形状や全体の大きさを正確に把握することは困難です。氷山は非常に頑丈で巨大な重量を持つため、船舶との衝突は極めて危険であり、1912年のタイタニック号沈没事故はその代表例として知られています。

氷山の一角のイメージ
氷山の一角のイメージ:水面下は海上の氷山の写真を反転させて合成している

氷山の色は通常白色ですが、内部の気泡や光の屈折、亀裂の有無、あるいは不純物の混入により、青色、緑色、黄色、さらには縞模様など多様な外観を呈することがあります。

氷山の形状と色の多様性
氷山の形状と色の多様性。不純物や光の加減により様々な色に見えることがある。

成因と分布

氷山の成因は、北極地域と南極地域で異なります。北極圏の氷山は主に氷河が海に流れ込むことで形成され、とがった山型の形状を多く持ちます。一方、南極圏の氷山は南極大陸から押し出された棚氷が分離して形成されるため、上面が平らな台状を呈し、巨大なものが多いのが特徴です。

北大西洋では、1914年に設立された国際海氷パトロール(International Ice Patrol)が氷山の監視を行っており、航行の安全を確保しています。南極海の氷山については、アメリカのNational Ice Centerが監視および命名を行っています。

大きさの分類

氷山は、その高さと長さに基づいて以下のように分類されます。

階級高さの下限高さの上限長さの下限長さの上限
氷岩 (Growler)1m3m5m16m
氷山片 (Bergy Bit)1m4m5m14m
小型 (Small)5m15m15m60m
中型 (Medium)16m45m61m122m
大型 (Large)46m75m123m213m
超大型 (Very Large)75m-213m-

よくある質問

なぜ氷山は水面下に隠れている部分が多いのですか?
氷の密度が海水よりもわずかに低いため、浮力の関係で体積の約90%が水面下に沈むことになります。
北極と南極の氷山にはどのような違いがありますか?
北極の氷山は主に氷河から形成され、とがった形状が多いのに対し、南極の氷山は棚氷から形成されるため、平らな台状で巨大なものが多いのが特徴です。
氷山の色が白以外に見えることはありますか?
はい。気泡の量や光の加減、亀裂、あるいは不純物の混入により、青、緑、黄色、縞模様などに見えることがあります。

関連記事

氷河棚氷海氷砕氷船

参考文献

  • Wright, Katherine. “Icebergs Can Be Green, Black, Striped, Even Rainbow [Slide Show]”. Scientific American. 2025年1月24日閲覧。
  • International Ice Patrol. “Frequently Asked Questions - What is the life cycle of an iceberg?”.
  • International Ice Patrol. “Frequently Asked Questions - What are the sizes and shapes of icebergs?”.