言語学
インドにおける英語の言語的特徴と位置づけ
インド共和国における英語の歴史的背景、イギリス英語を基調とした発音や文法面の特徴、およびヒングリッシュの実態について解説します。
📌 主なポイント
- ✓インド英語は、イギリスによる植民地化の歴史的背景からイギリス英語を基調として発展した。
- ✓インドの法律および関連規定に基づき、英語は連邦の公用語の一つとして機能している。
- ✓現地語の影響を受けた発音や文法上の特徴、および「ヒングリッシュ」と呼ばれる混交言語が存在する。
インド英語(いんどえいご、Indian English)とは、インド共和国において使用される英語の総称およびその方言群である。イギリスによる植民地統治の歴史的背景からイギリス英語を基調として発展し、同国の公用語のひとつとして多様な行政、教育、メディアの現場で広く用いられている。
歴史的背景と公用語としての位置づけ
インドにおける英語の普及は、1947年の独立以前のイギリス領インド帝国時代にさかのぼる。独立後、インド共和国の憲法および関連法令(1963年公式言語法など)のもとで、英語はヒンディー語とともに連邦政府の公用語または補助公用語としての地位を与えられた。
言語的特徴
インド英語はイギリス英語を基盤に成立しているが、現地語の影響を強く受けて独自の音声学的・文法的な特徴を獲得している。
発音と綴り字の傾向
イギリス英語やアメリカ英語と比較して、子音の「r」を強く発音する傾向があり、母音が後続しない場合でも明瞭に発音される。また、現代の多くの英語圏では発音されない黙字についても、綴り字通りに発音されることが少なくない。
文法および表現の特徴
インドの諸言語、特にヒンディー語などの統語論的影響を受け、進行形の多用が見られる場合がある。また、独自の表現方法や、イギリス古典文学に見られるような語彙が現代でも残存していることがある。
ヒングリッシュ
日常会話や大衆文化においては、ヒンディー語などの現地語と英語の語彙・文法が混交したヒングリッシュ(Hinglish)と呼ばれるスタイルも広く使用されており、現代のインド社会における重要なコミュニケーション手段となっている。
よくある質問
インド英語の基調となっているのはどの英語ですか?
歴史的背景から、アメリカ英語ではなくイギリス英語を基調として発展しました。
インドにおいて英語はどのような法的位置づけにありますか?
インドの公式言語法などの規定に基づき、連邦政府の公用語または補助公用語として位置づけられています。
ヒングリッシュとは何ですか?
ヒンディー語などのインドの諸言語と英語が混ざり合った、日常会話などで広く使われる言語表現のスタイルです。
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参考文献
- Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “インド英語”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History.
- “Official Language Act, India”. Government of India. 2020年1月8日閲覧。
- “Indian English vs American English”. Immihelp. 2020年1月8日閲覧。
- 末延岑生『ニホン英語は世界で通じる』〈平凡社新書〉 2010年 ISBN 9784582855357 p147-151
- 本名信行編『アジア英語辞典』三省堂、P.26-27。ISBN 4-385-11028-X