暦法

インドの統一暦:サカ暦の概要と歴史

インドで1957年に公式採用された太陽暦「インド国定暦(サカ暦)」の構造、歴史、および伝統的なヒンドゥー暦との違いについて解説します。

📌 主なポイント

  • インド国定暦は1957年に公式採用された太陽暦である。
  • サカ紀元(西暦78年)を基準としている。
  • 年始はグレゴリオ暦の3月22日(閏年は3月21日)である。

インド国定暦(Indian national calendar)は、インド政府が1957年に公式に採用した太陽暦です。サカ紀元(Saka Era)を基準とするため「サカ暦」とも呼ばれます。インド国内には多様な地域暦や宗教暦が存在しますが、本暦は国家としての統一的な暦法として制定されました。

構造と特徴

インド国定暦は、伝統的なヒンドゥー暦が太陰太陽暦であるのに対し、太陽暦として設計されています。年始はグレゴリオ暦の3月22日(閏年は3月21日)に固定されており、これは春分に基づいています。サカ紀元は西暦78年を紀元(0年)として数えます。

暦の月数は、太陽の黄道上の運行に基づき、前半の月は31日間、後半の月は30日間(閏年はチャイトラ月が31日)となるよう調整されています。これにより、グレゴリオ暦との対応が比較的安定しています。

月名称一覧

名称期間
1チャイトラ30日(閏年31日)
2ヴァイシャーカ31日
3ジャイシュタ31日
4アーシャーダ31日
5シュラーヴァナ31日
6バードラパダ31日
7アーシュヴィナ30日
8カールッティカ30日
9マールガシールシャ30日
10パウシャ30日
11マーガ30日
12パールグナ30日

制定の経緯

インドには古来よりヴェーダ学に基づいた多様な暦法が存在し、地域や宗派ごとに独自の計算方法が発展してきました。これらは主に太陰太陽暦であり、宗教行事の決定には不可欠なものでした。しかし、地域間での計算の差異が祭日の設定に混乱を招くこともあったため、インド政府は改暦委員会を設置しました。1957年に発表されたこの統一暦は、混乱を避けるための公的な指針として導入されましたが、現在でも多くの地域では伝統的な生活暦や宗教暦が併用されています。

ラーシュトリーヤ・パンチャーンガ

改暦委員会は、宗教的な祭日計算のために『スーリヤ・シッダーンタ』に基づく太陰太陽暦「ラーシュトリーヤ・パンチャーンガ」も発行しています。「パンチャーンガ」とはサンスクリット語で「5つの要素」を意味し、太陰日や太陽と月の角度など、伝統的な暦の構成要素を指します。一般市民の生活においては、依然として地域の天文学的権威が発行するパンチャーンガが広く参照されています。

よくある質問

インド国定暦とヒンドゥー暦の違いは何ですか?
インド国定暦は太陽暦ですが、伝統的なヒンドゥー暦は太陰太陽暦であり、計算方法や目的が異なります。
サカ紀元とは何ですか?
インド国定暦の紀年法で、西暦78年を0年として数える紀元です。
なぜインドには複数の暦が存在するのですか?
インドの長い歴史の中で、地域や民族、宗教ごとに独自の天文学的伝統や計算方法が発展してきたためです。

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参考文献

  • 岡田 芳朗, 阿久根 末忠『現代こよみ読み解き事典』柏書房、1993年
  • 辛島 昇他編『南アジアを知る事典』平凡社、2002年