皮肉記号の歴史と発展

📌 主なポイント
- ✓1668年、ジョン・ウィルキンスが上下反転した感嘆符による皮肉の強調を提案した。
- ✓1841年にマルセリン・ジョバールが矢印型のアイロニー・マークを導入した。
- ✓1899年にアルカンタ・デ・ブラームが著書で左右反転した疑問符に似たアイロニー・ポイントを使用した。
- ✓1966年にエルヴェ・バザンが複数の感情表現用約物とともに新たな記号を提案した。
皮肉記号(ひにくきごう、英語: irony mark)とは、文章の内容が皮肉であることを示すために用いられる約物のことである。歴史的にいくつかの提案がなされてきたが、標準的な句読点としては定着していない。
歴史的背景と初期の提案
1668年、ジョン・ウィルキンスは著書『真性の文字と哲学的言語にむけての試論』の中で、上下反転した感嘆符を用いて皮肉な表現を強調することを提案した。これが記録に残る初期の試みの一つである。
その後、1841年にベルギーの新聞出版者であったマルセリン・ジョバールは、クリスマスツリーの絵文字のような形の矢印を用いたアイロニー・マークを導入した。翌1842年には、このアイデアをさらに発展させ、記号の向きを変えることで苛立ち、憤慨、躊躇といった様々な感情を表現できるという見解を示した。

アイロニー・ポイント
フランスの詩人アルカンタ・デ・ブラーム(別名マルセル・ベルナール)は、1899年の著書『L'ostensoir des ironies』の中で、文章を皮肉と解釈すべきことを示すアイロニー・ポイント(フランス語: point d'ironie)を使用した。この記号は左右反転した疑問符に似た形状をしているが、前述のマルセリン・ジョバールが1841年6月11日付の記事ですでに同種の記号を使用していたことが言及されている。
20世紀以降の提案
1966年、フランスの作家エルヴェ・バザンは、エッセイ『Plumons l'Oiseau』の中で、ギリシャ文字のψの下に点を付けたような約物を皮肉の表現として提案した。この作品では、皮肉のほかにも疑わしさや確信、称賛、権威、愛情といった異なるニュアンスを示すための5つの約物が同時に提案されている。
また、2007年3月にはオランダの財団CPNBが、独自の新しいデザインとなるアイロニー・マーク「ironieteken」を発表するなど、現代に至るまで断続的に新たな試みがなされている。