物理学

放射照度:物理学における定義と単位・特徴の解説

放射照度:物理学における定義と単位・特徴の解説
物理学における放射照度(イラディアンス)の定義、単位、平行光線における特性、分光放射照度についてわかりやすく解説します。

📌 主なポイント

  • 放射照度とは、物体へ時間あたりに照射される単位面積あたりの放射エネルギーを表す物理量である。
  • SI単位系における放射照度の単位はワット毎平方メートル(W m⁻²)である。
  • 平行光線が斜めに入射する場合、放射照度は入射角の余弦(cos θ)に比例して小さくなる。

放射照度(ほうしゃしょうど、英語: irradiance)とは、物体へ時間あたりに照射される、単位面積あたりの放射エネルギーを表す物理量である。放射束を物体の表面積で微分することにより得られる。

物理学のシンボルマーク
物理学のシンボルマーク

国際単位系(SI)における単位はワット毎平方メートル(記号: W m⁻²)が用いられる。また、天文学の分野ではCGS単位系のエルグ毎平方センチメートル毎秒(記号: erg cm⁻² s⁻¹)が用いられることも多い。

なお、放射発散度は同じ単位を持つものの、放射発散度が放射源の指標であるのに対し、放射照度は照射される対象の指標であるという違いがある。

定義

物体表面の微小面積 ΔS に照射される放射束を Φ(ΔS) とするとき、放射照度 E は微小面積当たりの極限として定義される。

放射照度の微分定義式
放射照度の微分定義式

この定義から、有限の面積 S に照射される全放射束は、放射照度を表面積全体で積分することによって求められる。

面積分による放射束の定義式
面積分による放射束の定義式

平行光線における特性

光線が平行に入射する場合、光線と垂直な平面 An についての放射照度を En とする。この平面に対して角度 θ をなす平面 Aθ における放射照度は、入射角の余弦に依存して変化する。

平行光線の入射角と放射照度の関係式
平行光線の入射角と放射照度の関係式

θ が大きくなるにつれて平面に対して斜めに入射することになり、結果として放射照度は小さくなる。これは光の照度の性質と対応しており、平面状の物体にエネルギーを照射する際の重要な指標となる。

分光放射照度

分光放射照度(ぶんこうほうしゃしょうど、英語: spectral irradiance)とは、光の波長ごとの放射照度を指す。スペクトル放射照度と呼ばれることもある。

SIにおける単位はワット毎立方メートル(記号: W m⁻³)であるが、実用上は W m⁻² nm⁻¹ も広く利用されている。

波長ごとの積分による放射照度の算出式
波長ごとの積分による放射照度の算出式

放射量の国際単位系一覧

物理量SI単位記号備考
放射エネルギージュールJ光における光度エネルギー
放射束ワットW光における光束
放射強度ワット毎ステラジアンW/sr光における光度
放射輝度Watt per steradian per square metreW/sr/m²光における輝度
放射照度ワット毎平方メートルW/m²光における照度
放射発散度ワット毎平方メートルW/m²光における光束発散度
分光放射輝度ワット毎ステラジアン毎立方メートルW/sr/m³-
分光放射照度ワット毎立方メートルW/m³-

よくある質問

放射照度と放射発散度の違いは何ですか?
放射発散度が放射源自体の指標であるのに対し、放射照度はエネルギーが照射される対象の指標であるという違いがあります。
分光放射照度とは何ですか?
光の波長ごとの放射照度を指し、単位にはワット毎立方メートル(W m⁻³)などが用いられます。

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参考文献

宮本健郎『光学入門』岩波書店、1995年。