材料科学・繊維

糸の構造と分類、およびその特性に関する解説

糸の構造と分類、およびその特性に関する解説
天然繊維や化学繊維から構成される「糸」の分類、撚りの仕組み、太さの表し方(番手やデニールなど)について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • 糸は天然繊維や化学繊維を平行に引き揃え、多くの場合に撚りをかけたものである。
  • 形態により長繊維のフィラメント糸と短繊維の紡績糸に大別される。
  • 糸の太さは直接的な直径測定が難しいため、番手やデニールなどの間接的な指標で表される。

(いと)とは、天然繊維や化学繊維の両方、もしくはいずれか一方の繊維を平行に引き揃えたものである。多くの場合、撚り(より)をかけたものであり、工業的に撚りをかけたものは専門的に撚糸(ねんし)と呼ばれる。ごく一部の例外を除き、繊維製品は糸を原料として構成されている。

糸

糸の分類

糸は原料、形態、撚りなどの要素によって多様に分類される。

原料による分類

使用される原料により、綿糸、麻糸、毛糸、絹糸、レーヨン糸、ナイロン糸、ポリエステル糸、アクリル糸などに分けられる。

形態による分類

糸は構成する繊維の長さにより、長繊維であるフィラメント糸と短繊維である紡績糸に大別される。

  • フィラメント糸:化学繊維のフィラメントや、繭から繊維を繰り出して作られた解舒糸などがある。光沢に優れ、毛羽が少なく、細くて強い一方で、冷たい質感を持つ。
  • 紡績糸:綿糸、麻糸、毛糸のほか、くず繭などの短い繊維から作られる絹紡糸や化学繊維紡績糸が含まれる。毛羽が多いが、柔軟で温かい質感を持つ。

また、複数の繊維素材を組み合わせた複合糸や、2種以上の異質繊維を混合して紡績した混紡糸なども存在する。

糸の撚り

短繊維の場合、撚りをかけないとわずかな力で滑り抜けてしまうため、繊維に撚りをかけて強度を持たせる。ポリエステルなどの長繊維であっても、2本以上の繊維をねじることで強度が増す。

撚りの方向と強さ

糸の撚りには、左撚り(Z撚り)と右撚り(S撚り)がある。また、撚りの強さに応じて甘撚り糸、弱撚糸、並撚糸、強撚糸、特別強撚糸に分類される。

糸の太さの表し方

糸や繊維の断面は完全な円形ではなく、かかる力や撚りの状態によって物理的な太さが変動するため、直径で直接表すことは困難である。そのため、長さと重量の関係から間接的な指標として表される。

  • 恒重式番手:一定重量における糸の長さをもとに表現する方法で、「番手」を用いる。綿番手、毛番手、麻番手などがあり、数字が大きいほど糸は細くなる。
  • 恒長式番手法:一定長さにおける糸の重量をもとに表現する方法で、デニール(denier)などが用いられる。

こうした単位の不便さを解消するため、国際標準化機構(ISO)ではテックス(tex)番手法が提唱されており、国内でもJIS規格として規格化されている。

よくある質問

フィラメント糸と紡績糸の違いは何ですか?
フィラメント糸は長い繊維で構成されており、光沢があり毛羽が少なく強靭です。一方、紡績糸は比較的短い繊維で構成され、毛羽が多く柔軟で温かい質感を持ちます。
なぜ糸の太さは直径で表さないのですか?
糸や繊維の断面は完全な円形ではなく、柔らかく、かかる力や撚りの状態によって太さが変化するため、長さと重量の関係(番手やデニールなど)を用いて間接的に表します。

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繊維紡績撚糸

参考文献

  • 被服材料, 1988, p. 9-11.
  • 日本撚糸工業組合連合会 「撚糸とは」
  • 日本化学繊維協会 「糸の太さを表す単位」