日本の弁護士制度と職務・歴史の概要

📌 主なポイント
- ✓弁護士は弁護士法に基づく国家資格であり、その使命は「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」と定められている。
- ✓現行の弁護士法は1949年(昭和24年)6月10日に公布された。
- ✓弁護士となる資格を取得するには、司法試験合格後に司法修習を修了する必要がある。
- ✓弁護士として活動するためには、日本弁護士連合会への登録が必要である。
弁護士(べんごし、英: lawyer、attorney)は、法律に関する専門的知識に基づき、依頼者その他の関係人のために法律事務を取り扱う法律専門職である。
日本では、弁護士法に基づく国家資格であり、訴訟事件、非訟事件、行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事務を取り扱うことを職務とする。弁護士法は、弁護士の使命を「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」と定めている。
名称と概念
「弁護士」は法律専門職としての資格又は職業を指すのに対し、「弁護人」は刑事訴訟などにおいて被疑者・被告人のために訴訟上の活動を行う者を指す。したがって、両者は同義ではなく、弁護士が刑事事件において弁護人として活動するという関係にある。
外国語の lawyer、attorney、Rechtsanwalt、avocat などは、それぞれの国・地域の法律専門職制度を背景としているため、日本の「弁護士」と完全に同一の制度を意味するものではない。
歴史
近代以前と代言人制度
近世以前の日本には、現代の弁護士に相当する統一的な国家資格制度は存在しなかった。江戸時代には訴訟に関与する者として公事師などが存在したが、近代の弁護士制度とは法的性格が異なる。明治維新後、近代的な司法制度の整備に伴い、訴訟に関与する専門職として代言人制度が形成され、その後近代的な法律専門職制度へと発展した。
弁護士法の変遷
1893年(明治26年)3月4日、それまでの代言人制度を改め「弁護士」という名称を用いる弁護士法が公布された。その後、1933年(昭和8年)に全部改正が行われ、第二次世界大戦後には、1949年(昭和24年)6月10日に現行の弁護士法が公布され、制度が再編された。
職務と法律事務
弁護士法第3条は、弁護士の職務を、訴訟事件、非訟事件、行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことと定めている。具体的な取扱分野は民事・家事事件、刑事弁護、行政事件、企業法務、倒産・事業再生など多岐にわたる。
- 民事・家事事件: 損害賠償、交通事故、金銭貸借、不動産、離婚、相続など
- 刑事弁護: 捜査段階の助言や身体拘束からの解放に向けた活動、公判での証人尋問や最終弁論など
- 企業法務: 契約、M&A、金融、知的財産、労務管理など(企業内弁護士を含む)
資格制度と登録
弁護士法第4条は、司法修習生の修習を終えた者が弁護士となる資格を有すると定めている。一般的な法科大学院課程又は司法試験予備試験を経て司法試験を受験し、合格後に司法修習を修了する。資格を取得した者が実際に活動するためには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿への登録が必要である。
弁護士自治
弁護士は、原則として所属する弁護士会に入会し、日本弁護士連合会に登録する。弁護士会及び日本弁護士連合会を中心として弁護士の職務を自主的に規律する制度は、弁護士自治と呼ばれ、職務上の独立性を確保することを目的としている。