ジェット気流の気象学的特徴と発見の歴史

📌 主なポイント
- ✓ジェット気流は主に対流圏上層に位置する強い偏西風である。
- ✓上空8から13km付近で風速が最大となり、冬季には風速が顕著に増す。
- ✓日本の大石和三郎が1920年代に測風気球を用いてその存在を発見した。
ジェット気流(ジェットきりゅう、英語: jet stream)とは、主に地球の対流圏上層に位置する、強い偏西風の流れのことである。

概要と特徴
気流の流れを軸とすると、軸の中心に近いほど風速が速く、通常の平均的な風とは異なる特徴を持つ。主に上空8から13km付近で風速が最大となる。主要なものとして北緯40度付近の寒帯ジェット気流と、北緯30度付近の亜熱帯ジェット気流が挙げられる。
その規模は長さ数千km、厚さ数km、幅100km程度に及ぶ。特に冬季には寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が合流する日本付近やアメリカ大陸東部において、風速が30m/s程度、時には100m/s近くに達することもある。一方で、夏季にはその半分程度の風速に弱まる傾向にある。

発見の歴史
ジェット気流の存在は、いくつかの観測と歴史的出来事を通じて明らかにされてきた。
- 1883年:クラカタウの噴火を観測していた人々が、赤道上空の噴煙の流れとしてジェット気流の存在を記録した。
- 1920年代:日本の高層気象台長であった大石和三郎が、富士山付近から測風気球を飛ばして上層の風を調査し、ジェット気流を発見した。しかし、エスペラント語で発表されたため、当時は国際的に広く注目されることはなかった。
- 1930年代:アメリカのパイロットであるウィリー・ポストが世界一周飛行や高高度飛行の際にジェット気流に遭遇し、対地速度が大幅に増す事実を確認した。
- 1939年:ドイツの気象学者ハインリヒ・セイルコフがこの気流を発見し、ドイツ語で「Strahlstrom(ジェット気流)」と名付けた。

第二次世界大戦中には、軍用機が飛行の際に出会う強力な向かい風や爆撃を通じてその存在が広く確認されるようになった。また、日本においてはジェット気流を利用した兵器として「風船爆弾」が開発され、1944年から翌年にかけて運用された。
主な種類
寒帯ジェット気流
中緯度付近に発生するジェット気流であり、寒帯前線面に形成される場合は寒帯前線ジェット気流と呼ばれる。対流圏上層の気圧が250から300hPa付近で明瞭に見られ、冬に強く夏に弱まる。
亜熱帯ジェット気流
亜熱帯地方に形成され、北緯30度程度をほぼ定常的に吹く西風である。気圧が200hPa付近の高度に見られ、冬に顕著となる。ハドレー循環とフェレル循環の境界をなす。
その他のジェット気流
対流圏下層に出現する下層ジェット気流や、赤道付近で見られる偏東風ジェット気流、成層圏の高緯度に発生する極夜ジェット気流などが知られている。
航空への影響
航空機が西から東へ飛行する際には、ジェット気流に乗ることで燃料と所要時間を大幅に短縮できる。逆に東から西へ向かう場合にはこの気流を回避する必要があるため、季節や気流の位置によって飛行ルートや所要時間が大きく変動する。
よくある質問
ジェット気流とは何ですか?
ジェット気流はなぜ季節によって強さが変わるのですか?
航空機の飛行にどのような影響を与えますか?
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参考文献
- 日本航空 『Agora』 航空豆知識「行きと帰りでなぜ飛行時間が違うのか」
- Simon Winchester, "A Tale of Two Volcanos", New York Times, 2010.
- S.E. Bishop, "Krakatoa", Nature, 1885.
- 気象庁 季節予報研修テキスト 第25巻 第6章 季節予報用語集