防災・地形学
河道閉塞(天然ダム)の概要と災害リスク

地震や豪雨などの自然現象により河川が土砂で堰き止められる「河道閉塞(天然ダム)」のメカニズム、災害リスク、および対策について解説します。
📌 主なポイント
- ✓河道閉塞(天然ダム)は、地震や豪雨による土砂崩れが河川を堰き止める現象である。
- ✓構造的に脆弱であり、決壊による土石流や鉄砲水が下流域に甚大な被害をもたらすリスクがある。
- ✓国土交通省は、被災者への配慮から公式には「河道閉塞」という用語を使用している。
河道閉塞(かどうへいそく)とは、地震、集中豪雨、火山噴火などの自然現象に伴い、山腹崩壊や地すべりによって発生した土砂が河川を堰き止める現象を指します。一般的には「天然ダム」とも呼ばれますが、国土交通省は災害対策の観点から「河道閉塞」という用語を公式に使用しています。
この現象により形成された湛水域は、永続的なものであれば「堰止湖(せきとめこ)」と呼ばれます。しかし、多くの場合、形成された土塊は構造的に脆弱であり、自重や越流水、余震などによって短期間で決壊するリスクを抱えています。

災害リスクと対策
河道閉塞が決壊すると、蓄積された大量の水と土砂が土石流や鉄砲水となって下流域へ流下し、甚大な被害をもたらす可能性があります。そのため、発生時には迅速な監視と対策が求められます。
主な対策としては、水位を下げるための仮排水路の造成や、不安定な土塊の撤去が行われます。これには、流水による浸食に耐えうる排水路の設計や、水分を含んだ土砂の安全な搬出先の確保といった高度な技術的判断が伴います。

用語の変遷
かつては学術的・一般的に「天然ダム」という呼称が広く用いられていました。しかし、2004年の新潟県中越地震以降、国土交通省は「天然」という言葉が美しい印象を与え、被災者の心情にそぐわない可能性があるとして、「河道閉塞」という専門的な呼称を公式に採用しました。現在でも報道機関や文脈によって「土砂ダム」「土砂崩れダム」など多様な表現が用いられることがあります。
よくある質問
天然ダムと河道閉塞は同じものですか?
はい、同じ現象を指します。国土交通省は、災害対策の観点から「河道閉塞」という用語を公式に使用しています。
なぜ天然ダムは危険なのですか?
構造的に不安定であり、地震の余震や越流水によって容易に決壊するためです。決壊時には大量の土砂と水が下流へ流れ出し、土石流災害を引き起こす恐れがあります。
どのような対策が行われますか?
水位を下げるための仮排水路の造成や、不安定な土塊の撤去といった治水対策が行われます。
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参考文献
- 国土交通省近畿地方整備局「天然ダム付近に監視カメラを設置しました」
- 安田政彦『災害復興の日本史』吉川弘文館、2013年。
- 井上公夫ほか「日本の天然ダムと対応策」古今書院、2012年。