化学
化学平衡の基礎と原理

化学平衡の状態、反応速度と平衡定数の関係について、酢酸の解離を例にわかりやすく解説する百科事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓化学平衡とは、可逆反応において正反応と逆反応の速度が等しくなり、見かけ上反応が停止しているように見える状態である。
- ✓化学平衡の状態では、反応物と生成物の組成比は巨視的に変化しない。
- ✓平衡定数は温度依存性があり、温度変化によってその値が変動する。
化学平衡の状態(かがくへいこうのじょうたい、英: chemical equilibrium)あるいは反応の平衡状態とは、可逆反応において正反応の反応速度と逆反応の反応速度が等しくなり、見かけ上は反応が停止しているように見える状態を指します。実際には両方向の反応が同時に進行しています。
化学平衡の状態にある系では、反応物と生成物の組成比は巨視的に変化しません。一般的な化学平衡のほかにも、気液平衡、電離平衡、分配平衡、溶解平衡など、さまざまな種類が存在します。
酢酸の解離を例としたメカニズム
水中での酢酸の解離を例に挙げて化学平衡の挙動を確認します。反応式は以下の通りです。

各成分のモル濃度を括弧で表すと、平衡定数 $K_c$ は次のように定義されます。

分子レベルで見ると、酢酸分子が水分子と衝突してプロトンを渡し、酢酸イオンとオキソニウムイオンを生成する順方向反応が起きます。

一方で、酢酸イオンとオキソニウムイオンが衝突して再び酢酸と水に戻る逆方向反応も同時に進行します。

水に酢酸を投入した直後は未解離の酢酸が多く順反応が優勢ですが、時間の経過とともに酢酸イオンやオキソニウムイオンが増加し、逆反応の速度も増加します。最終的に両方向の速度が等しくなり、平衡状態に達します。
平衡定数と反応速度
質量作用の法則で説明できる系において、可逆反応の正反応および逆反応の速度はそれぞれ反応速度定数とモル濃度を用いて近似されます。

同様に逆反応の速度は次のように表されます。

化学平衡に達したとき、正反応と逆反応の速度は等しくなります。

これを整理すると、濃度に関する比と反応速度定数の比の関係が導かれます。

よくある質問
化学平衡とは何ですか?
可逆反応において、正反応の反応速度と逆反応の反応速度が等しくなり、外見上反応が止まっているように見える状態のことです。
化学平衡の状態では反応は完全に止まっていますか?
いいえ、巨視的には反応が止まっているように見えますが、微視的には正反応と逆反応の両方が同じ速度で常に起き続けています。
平衡定数は何によって変化しますか?
正逆の反応速度がそれぞれ温度依存性を持つため、平衡定数は温度の変化に伴って変動します。
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参考文献
- 『化学 academia』実教出版 令和5年1月25日
- Trudela, J.; Hosattea, S.; Ternan, M. "Solid–gas equilibrium in chemical heat pumps: the NH3–CoCl2 system" Applied Thermal Engineering 1999, 19, 495-511.