過臭素酸の化学的性質と合成方法

📌 主なポイント
- ✓過臭素酸の化学式は HBrO4 であり、臭素の酸化数は+VII(+7)である。
- ✓名称に「過」とつくものの、過酸化物構造(-O-O-)を含まない。
- ✓1968年に初めて合成されるまで、存在しないと長く考えられていた。
- ✓熱力学的に不安定な強酸であり、非常に強い酸化力を有する。
過臭素酸(かしゅうそさん、perbromic acid)は、臭素のオキソ酸の一種で、化学式 HBrO4 の化合物です。臭素原子の酸化数は最高酸化状態である+VII(+7)を示します。名称に「過」とついていますが、分子内に過酸化物構造(-O-O-結合)は含まれておらず、過酸ではありません。
歴史的背景と概要
かつては過臭素酸および過臭素酸イオンは存在しないと考えられており、その理由を理論的に説明する学術論文が存在したほどでした。しかし、1968年に至って初めて合成に成功しました。形式的には七酸化二臭素(Br2O7)と水の反応によって生成するとされていますが、七酸化二臭素自体は安定に単離されていません。過臭素酸は不安定な強酸であり、過塩素酸に類似した性質を持ちます。

製法
最初に過臭素酸イオンの生成が確認されたのは、放射性同位体のセレン原子を含むセレン酸イオンのベータ崩壊によるものでした。

化学実験室における合成方法としては、臭素酸塩を二フッ化キセノン(XeF2)で酸化する方法や、濃厚臭素酸ナトリウム水溶液を塩基性条件下で冷却しながらフッ素(F2)により酸化する方法が用いられます。

反応溶液から未反応の臭素酸イオンを臭素酸銀(AgBrO3)として、フッ化物イオンをフッ化カルシウム(CaF2)の沈殿としてそれぞれ除去し、陽イオン交換樹脂を通すことで遊離酸の水溶液が得られます。
化学的性質
過臭素酸イオンは熱力学的に不安定であり、極めて強力な酸化剤ですが、反応速度論的には比較的安定に存在します。

過臭素酸の水溶液は減圧濃縮が可能であり、約6 mol dm-3(約55%)程度の水溶液は100℃以下であれば比較的安定です。さらに減圧濃縮を進めることで、約12 mol dm-3(約80%)程度の水溶液および二水和物の結晶が得られますが、これらは非常に不安定であり、塩化物イオンの酸化や有機物との接触によって爆発的な燃焼を引き起こす危険性があります。

よくある質問
過臭素酸は過酸の一種ですか?
過臭素酸の臭素の酸化数はいくつですか?
過臭素酸はいつ発見・合成されましたか?
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参考文献
- FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年.
- 『化学辞典』 東京化学同人、1994年.
- 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年.