海洋学
海水温の概要と観測

海水温の定義、観測手法、気象や海洋生態系への影響について解説します。海面水温の重要性やエルニーニョ現象などの変動要因についても触れます。
📌 主なポイント
- ✓海水温は気象学、気候学、漁業、生物学において重要な基礎データである。
- ✓海面水温(SST)の観測には、人工衛星による赤外線観測と、ブイや船舶による現場観測が併用されている。
- ✓熱帯低気圧の発生と発達には、海面水温が重要なエネルギー源として関与している。
- ✓エルニーニョ現象やダイポールモード現象など、海水温の変動は地球規模の気候に影響を与える。
海水温とは、海水の温度を指す指標です。一般的に「海水温」という言葉が用いられる場合、海面から数十センチメートルから十数メートル程度の深さまでの海面水温(Sea Surface Temperature, SST)を指すことが多く、気象学、気候学、海洋学において極めて重要なデータとされています。

観測手法の変遷
海水温の測定は、かつては船上からバケツで海水を汲み上げて温度を測る手法が主流でした。その後、船のエンジン冷却水を利用した計測や、漂流ブイ・固定ブイを用いた自動観測へと発展しました。しかし、観測機器の仕様や測定水深のばらつきが課題となっていました。
1980年代以降は、人工衛星を用いた観測が主流となっています。特に黒体放射を利用した赤外線観測は、大気の影響を補正しつつ広範囲を効率的に測定できるため、現在でも主要な手法です。ただし、雲による遮蔽などの制約があるため、現在もブイや船舶による現場観測と組み合わせてデータが補完されています。
気象および生態系への影響
海水温は地球規模の気象現象に深く関与しています。例えば、熱帯低気圧(台風など)は、海面水温が約26.5°C以上の海域で発達しやすく、海水温が高いほどエネルギー供給が活発になります。また、高緯度地域では海水温の上昇が氷床の融解を加速させる要因の一つとして注目されています。
生物学の観点では、水棲生物の分布や回遊経路は海水温に強く依存しており、漁業資源の変動を予測する上でも不可欠な指標です。
海水温の変動現象
海水温が平年値から大きく逸脱する現象は、気候変動に大きな影響を及ぼします。主な例として以下が挙げられます。
- エルニーニョ・ラニーニャ現象:赤道太平洋東部における海水温の正または負の偏差。
- インド洋ダイポールモード現象:インド洋西部と東部の海水温の差が通常と異なる状態。
- 海洋熱波:特定の海域で海水温が異常に高い状態が続く現象。
よくある質問
なぜ海水温は気象予測に重要なのですか?
海水温は海面からの蒸発量や大気への熱供給を左右し、台風の発達や異常気象の発生に直結するため、気象予測において不可欠な要素です。
人工衛星でどのように海水温を測るのですか?
海面から放射される赤外線(黒体放射)を観測することで、大気の影響を補正しながら海面付近の温度を推定しています。
海水温が0度を下回ることはありますか?
海水には塩分が含まれているため、真水よりも凝固点が低く、摂氏0度を下回っても凍結しないことがあります。
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参考文献
- 気象庁. "海水温・海流の知識 海面水温". www.data.jma.go.jp. 2023年8月17日閲覧。