環境護岸の概要と分類
📌 主なポイント
- ✓環境護岸は、治水機能に加え、景観、親水性、生態系保全の向上を目的としている。
- ✓親水護岸には、水辺への接近を容易にする緩勾配護岸や階段護岸がある。
- ✓生態系保全護岸は、魚巣ブロックや人工ワンドの造成により、生物の生息・産卵場所を確保する。
環境護岸とは、従来の治水機能のみを重視した護岸に対し、景観の向上、親水性の確保、そして生態系の保全といった環境面への配慮を組み込んだ護岸の総称です。かつての河川改修では、コンクリート擁壁や鋼矢板などを用いた強固な構造が主流でしたが、これらは水辺への接近を阻み、生物の生息環境を分断する側面がありました。環境護岸は、これらの課題を解決し、自然と人間が共生できる河川空間の創出を目指すものです。
親水・河川利用護岸
親水・河川利用護岸は、人々が水辺に近づき、河川空間を身近に利用できるように設計された護岸です。主な形態として、緩勾配護岸や階段護岸が挙げられます。
緩勾配護岸
低水護岸の勾配を緩やかにすることで、高水敷と水面とのアプローチを容易にし、安全に水辺へアクセスできるようにしたものです。
階段護岸
護岸を階段状に整備することで、親水性を高める手法です。観覧席としての機能や、船着場を兼ねた構造など、地域の利用状況に応じた設計がなされます。
景観保全護岸
人工的なコンクリート構造物の無機質さを軽減し、周囲の景観と調和させることを目的とした護岸です。植栽を組み合わせる工法が一般的です。
緑化護岸
法枠ブロックや緑化ブロックなどの異形ブロックを用い、その隙間に芝や柳、蔦などの植物を植栽する工法です。コンクリートの表面を植物で覆うことで、視覚的な柔らかさを生み出します。
生態系保全護岸
魚類や水生昆虫、鳥類などの生物が産卵・生育・避難できる環境を確保するための護岸です。水中の生物が移動しやすい構造や、隠れ家となる空間の創出が重視されます。
魚巣ブロック護岸
内部に空洞を持つ「魚巣ブロック」を積み上げることで、魚類の生息空間を確保する手法です。河川の自然環境を回復させ、内水面漁業の振興や地域住民の憩いの場としての機能も期待されています。
人工ワンド
ワンドとは、河川の流れの中に形成される静水域のことです。人工的にワンドを造成することで、本流とは異なる良好な魚類の生息環境を作り出します。淀川などの事例では、多様な魚類が棲息する重要な空間として保全されています。