歴史・行政

官吏の歴史と制度解説

官吏の歴史と制度解説
公法上の任命行為に基づき国家機関に勤務する官吏について、日本における明治維新後の制度変遷やフランス・ドイツの公務員制度と比較しながら詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • 官吏は公法上の任命行為に基づき国家機関に勤務する者を指す。
  • 大日本帝国憲法の下では天皇の任免大権により任免され、文官と武官に分けられた。
  • 明治維新後、勅任・奏任・判任による官吏の分類や官位相当制が整備された。
  • フランスやドイツでは、国家公務員が公法上の身分を持つ官吏と非官吏に分かれる制度がとられている。

官吏(かんり)とは、公法上の任命行為に基づいて任命され、国家機関(官公庁や軍など)に勤務する者を指す言葉である。「官人胥吏」の合成語に由来する。

各国の官吏制度や近代以降の展開については、広く官僚の項目も参照される。なお、日本においては厳密な官吏かどうかを区別せず、慣用的に「官」と呼ぶ例(教官、試験官など)も見られる。

日本の官吏制度の変遷

大日本帝国憲法の下では、天皇の官制大権および文武官の任免大権(大日本帝国憲法第10条)によって任免される者を指し、現在の国家公務員に相当していた。軍務に服する武官とそれ以外の文官に分けられていた。日本国憲法の下では国家公務員を指すものとして規定されている。

明治維新後の制度改革

1868年1月3日(慶応3年12月9日)、王政復古の大号令が発せられた翌日、総裁・議定・参与からなる「三職制」が定められた。参与としての人材を得るため、徴士・貢士制が定められ各藩から藩士が集められた。貢士は藩論を代表して議事所に出仕したが、徴士として集められた者は藩との関わりを断ち、朝廷の直臣となることが求められた。

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よくある質問

官吏とはどのような人を指しますか?
公法上の任命行為に基づいて任命され、官公庁や軍などの国家機関に勤務する者を指します。日本における歴史的な文脈では、大日本帝国憲法下における国家公務員(文官および武官)に相当します。
大日本帝国憲法下での官吏の分類はどのように分かれていましたか?
官吏は高等官と判任官に大きく分類され、さらに高等官は勅任官と奏任官に分かれていました。また、勅任官の中でも大臣等の親任官とそれ以外の勅任官に区別されていました。
フランスやドイツの公務員制度における官吏の特徴は何ですか?
フランスやドイツでは、国家公務員が公法上の勤務関係や忠誠関係に基づく「官吏」と、私法上の雇用契約に基づく非正規・被用者に明確に区分されているのが特徴です。

参考文献

  1. 勅授・奏授・判授と勅任・奏任・判任がどちらも使用されていたが、1875年(明治8年)3月14日に勅授・奏授・判授の廃止を決めた
  2. 政体書では議政官、行政官・神祇官・会計官・軍務官・外国官、刑法官の合計七官を設けた
  3. 内閣記録局の見解によれば、下級官吏である使部は明治2年7月8日の官位相当表では少初位相当であったが、同年8月22日の改正表には掲載されなかったため等内の判任官から等外吏にその地位を降ろした 。使部は律令制においては雑任の官人であり、中世以降は地下家の世職として江戸時代まで存続したもので、明治政府でも下級官吏の官職であった。
  4. 背景事情として、1874年、明治通宝など紙幣・証券の印刷設備が北ドイツ連邦から日本に移転していた。
  5. 『法令全書 慶応3年』内閣官報局、1887年、6-8頁。NDLJP:787948/9。「慶応3年【第13】 徳川内府大政返上将軍辞職ノ請ヲ允シ摂関幕府ヲ廃シ仮ニ総裁議定参与ノ三職ヲ置ク(宮堂上ニ諭告)(12月9日)」
  6. 『法令全書 明治元年』内閣官報局、1887年、16-17頁。NDLJP:787948/57。「明治元年【第36】 三職分課職制ヲ定ム(正月17日)」
  7. 貢士(読み)コウシコトバンク
  8. 「各藩徴士奉命即日ヨリ朝臣ト心得シム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070181500、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第二十五巻・官規・任免一(国立公文書館)
  9. 「貢士ノ科廃止ニ付県ニ於テ官員登用ノ節ハ弁事役所ヘ申請セシム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070182600、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第二十五巻・官規・任免一(国立公文書館)
  10. 『法令全書 明治2年』内閣官報局、1887年、54頁。NDLJP:787949/64。「第105 徴士雇士申付方ヲ定ム(2月3日)(布)(行政官)」
  11. 「判任官以下多クハ雇士ヲ以テ之ニ任ス間亦徴士ヲ以テ之ニ任スルモノアリ」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070181600、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第二十五巻・官規・任免一(国立公文書館)
  12. 「徴士雇士ノ称ヲ廃ス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070094300、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第十五巻・官制・文官職制一(国立公文書館)
  13. 「藩士登用ノ際其藩ヘ牒スルノ例ヲ止メ徴士雇士ノ称ヲ廃シ廟議ヲ以テ撰用スルモノトス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070183800、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第二十五巻・官規・任免一(国立公文書館)
  14. 「輔相議定参与等ヲ投票撰挙セシム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070098000、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第十五巻・官制・文官職制一(国立公文書館)
  15. 「授任勅奏判ノ区別己巳七月両度達ノ内前ノ分廃止」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A24010404500、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第七巻・制度七・爵位(国立公文書館)
  16. 「政体書ヲ頒ツ」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070093500、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第十五巻・官制・文官職制一(国立公文書館)
  17. 「始メテ勅奏判ヲ分チ宣旨押印ノ制ヲ定ム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070093800、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第十五巻・官制・文官職制一(国立公文書館)
  18. 『法令全書 明治2年』内閣官報局、1887年、263頁。NDLJP:787949/168。「第622 職員令並官位相当表(明治2年7月8日)」
  19. 「勅奏判任ノ区別ヲ定メ判任ハ其長官之ヲ授ケ位階ハ太政官之ヲ賜フ」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070026900、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第五巻・制度・出版・爵位(国立公文書館)
  20. 「判任官十六等中第二等以下ヲ等外ト為ス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070094600、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第十五巻・官制・文官職制一(国立公文書館)
  21. 「使部等内外ノ区別ヲ稟定ス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15111473500、公文類聚・第十二編・明治二十一年・第三巻・官職二・職制章程二・官等俸給席次附(国立公文書館)(第8画像目から第9画像目まで)
  22. 石井 滋 2015, pp. 96, 105.
  23. 石井 滋 2015, p. 104.
  24. 石井 滋 2015, pp. 102−104, 106.
  25. 「警視庁各省官制中ノ疑問ニ拠リ等外出仕ハ廃セラレタル旨ヲ答示ス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15111077700、公文類聚・第十編・明治十九年・第二巻・官職一・官職総、官職二・職制章程第一(国立公文書館)
  26. JACAR:A15070095100(第1画像目から第2画像目)
  27. JACAR:A15070095100(第2画像目から第3画像目)
  28. JACAR:A15070095100(第3画像目から第4画像目)
  29. JACAR:A15070095100(第4画像目から第5画像目)
  30. JACAR:A15070095100(第5画像目から第6画像目)
  31. 昔の「1円」は今のいくら?1円から見る貨幣価値・今昔物語 三菱UFJ信託銀行
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