政治学
間接選挙制度の仕組みと歴史的展開
有権者が中間選挙人を経由して代表者を選出する間接選挙制度について、その仕組みや歴史的背景、国内外の事例を解説します。
📌 主なポイント
- ✓間接選挙は、有権者が中間選挙人を経由して候補者を選出する選挙制度である。
- ✓歴史的には、急進的な意見の排除や、交通・通信が不便な時代における実務的な判断委託の手段として利用された。
- ✓アメリカ合衆国の大統領選挙は、歴史的経緯から選挙人を介する間接選挙の形態をとっている。
- ✓日本の広域連合では、法律に基づき住民の直接選挙または構成団体による間接選挙のいずれかで長や議会が選ばれる。
間接選挙とは、有権者が直接候補者を選んで投票するのではなく、中間選挙人などを通して候補者を選び、間接的に意思表示を行う選挙制度のことである。直接選挙に対比される。
仕組みと特徴
直接選挙に比べ、中間に選挙人などのクッションが入ることで、一時の感情や勢いではなく理性的な選択がなされることが期待されてきた。交通や通信が発達していなかった時代には、有権者が遠隔地の候補者を直接見極めることが困難であり、その判断を選挙人に託すことができる実務的な利点もあった。
反面、死票が多くなる可能性や、有権者の意向と選挙人の実際の投票先が乖離するリスクが存在する。また、歴史的には制限選挙との併用を通じて、見かけ上は投票の形をとりながら特定の社会階層の意見を排除する手段としても利用された。
国内外の事例
アメリカ合衆国の大統領選挙
アメリカ合衆国憲法制定当初は普通選挙制度が一般的ではなく、州ごとに有権者資格が異なっていた。こうした背景から、各州の議会や住民が選定する選挙人が大統領および副大統領を選挙する間接選挙が導入された。憲法起草時には、選挙人が自らの判断で投票先を選ぶ自由委任としての運用が想定されていたが、次第に政党間の争いとなり、実質的には命令的委任へと変化した。
議院内閣制国家における元首選出
連邦制を採用する議院内閣制国家であるインドやドイツでは、連邦議会と各州議会の代表などが大統領を選出する仕組みをとっている。また、イタリアでは両院議員と地域代表によって大統領が選出される。
地方自治における事例
日本の特別地方公共団体の一種である広域連合では、その長と議会について、住民の直接選挙、または構成団体の長と議会による間接選挙のいずれかで選出することが地方自治法第291条の5で規定されている。
よくある質問
間接選挙とはどのような選挙制度ですか?
有権者が直接候補者に投票するのではなく、中間に位置する選挙人などを通じて代表者を選出する選挙制度です。
間接選挙にはどのようなメリットがありますか?
一時の感情や勢いに流されない理性的な選択が期待できる点や、候補者の見極めを選挙人に託すことができる点などが挙げられます。
アメリカの大統領選挙はどのように行われますか?
一般有権者が各州の選挙人候補団に投票し、その結果に基づいて選出された選挙人が正副大統領を選ぶ間接選挙の仕組みをとっています。
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間接民主制議院内閣制大統領制制限選挙直接選挙
参考文献
西川秀和『アメリカ人の物語22 憲法制定会議: 建国の父 ジョージ・ワシントン2 建国期のアメリカ』青史書店、2016年。
待鳥聡史『アメリカ大統領制の現在~権限の弱さをどう乗り越えるか』NHK出版、2016年。
待鳥聡史『アメリカ大統領制の現在~権限の弱さをどう乗り越えるか』NHK出版、2016年。