気象学

環水平アークの光学特性と観測条件

環水平アークの光学特性と観測条件
大気光学現象の一つである環水平アークのメカニズム、観測条件、類似現象との違いについて詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • 環水平アークは、太陽高度が58度以上の時にのみ出現する大気光学現象である。
  • 雲を構成する六角板状の氷晶に太陽光が屈折することで虹色の光の帯が形成される。
  • 北緯・南緯約55度より高緯度の地域では、原則として観測することができない。

環水平アーク(かんすいへいアーク、英語:circumhorizon arc あるいは circumhorizontal arc)とは、太陽の下方約46度の水平線上に、薄雲を通して虹色の光の帯が見える大気光学現象の一種である。「水平弧」や「水平環」とも呼ばれる。

羽毛状の巻雲に投影された環水平アーク
羽毛状の巻雲に投影された環水平アーク

発生メカニズムと光学特性

環水平アークは、大気中を漂う氷の結晶(氷晶)に太陽光が屈折することによって引き起こされる。現象が発生する際、雲を構成する氷晶の多くは六角板状であり、その方向はおおむね水平に揃っている。鉛直面への入射と水平面からの出射を経て2度屈折した太陽光が、プリズムの役割を果たす氷晶によって可視光線の波長ごとに分光されることで、鮮やかな虹色として観測される。

長い環水平アーク。やや上方に反って見える。
長い環水平アーク。やや上方に反って見える。

通常の虹とは異なり、環水平アークは太陽と同じ方向の空に現れ、水平な帯状の形状を持つ。その光の帯は、方位角にして最大108度に及ぶ広がりを持つことがある。

彩雲と間違えられやすい断片的な環水平アーク
彩雲と間違えられやすい断片的な環水平アーク

観測条件と地理的限界

環水平アークが観測されるための最大の必須条件は、太陽高度が58度以上という高い状態にあることである。この厳格な条件のため、北緯あるいは南緯約55度より高緯度の地域では、高山を除いて地上から見ることはできない。ヨーロッパにおいては、デンマークのコペンハーゲン付近が観測可能な北限とされている。

2014年5月の東京にて
2014年5月の東京にて

一方、低緯度の地域に近づくほど、夏季を中心に太陽高度が58度以上を維持する期間が長くなり、観測の機会が増加する。日本などの中緯度地域においては、夏至を挟んだ前後数ヶ月間の限られた期間、年間を通じて数回程度観測することが可能である。

環水平アークの様子
環水平アークの様子

類似する大気光学現象との区別

環水平アークは、他の気象学的現象と外観が似ており、混同されることがある。

内暈(上)と環水平アーク(下)
内暈(上)と環水平アーク(下)
  • 彩雲:巻雲などの断片的な雲を通して見られる場合、同じく虹色を帯びる彩雲としばしば見分けがつかなくなる。
  • 外暈(46度ハロ)および下部ラテラルアーク:これらは同じ高度付近に生じるため、太陽の高度や雲の状態によっては環水平アークとほとんど同じ形状に見え、厳密な区別が困難になる場合がある。
空に広がる光学現象
空に広がる光学現象
巻積雲と環水平アーク
巻積雲と環水平アーク
飛行機と環水平アーク
飛行機と環水平アーク

よくある質問

環水平アークを見るための条件は何ですか?
太陽高度が58度以上であること、および上空の薄雲(巻雲など)に規則正しい向きの六角板状氷晶が存在していることが条件となります。
普通の虹とどのような違いがありますか?
普通の虹が太陽とは反対側の空に現れるのに対し、環水平アークは太陽と同じ方向の空の低い位置に水平な帯状となって現れます。
日本では一年のうちに何回くらい見られますか?
日本のような中緯度地域では、夏至を挟んだ数ヶ月間の夏季を中心に、おおむね1年に数回程度観測されます。

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環天頂アーク彩雲真珠母雲

参考文献

  • 「Circumhorizon arc」Atmospheric Optics、2015年6月7日閲覧
  • 「Zirkumhorizontalbogen (EE23)」Arbeitskreis Meteore e.V.、2015年6月7日閲覧