暈(大気光学現象)のメカニズムと歴史的文化的背景

📌 主なポイント
- ✓暈(ハロ)は、太陽や月に薄い雲がかかった際にその周囲に光の輪が現れる大気光学現象である。
- ✓雲の中にある六角柱状の氷晶がプリズムとして働き、光が屈折されることで発生する。
- ✓半径約22度の円として現れるものを内暈(22°ハロ)、半径約46度の円として現れるものを外暈(46°ハロ)と呼ぶ。
暈(かさ、英: halo、独: Halo)とは、太陽や月に薄い雲がかかった際、その周囲に光の輪が現れる大気光学現象である。ハロー現象とも呼ばれ、太陽の周りに現れたものは日暈(ひがさ)、月の周りに現れたものは月暈(つきがさ)という。虹のようにも見えることから白虹(はっこう)とも称される。

発生のメカニズム
暈は、上空の薄い雲を形成する氷晶がプリズムとして働き、太陽や月からの光がその内部を通過する際に屈折されることで発生する。暈を生じさせる雲は、主に対流圏上層に発生する巻層雲や巻積雲、巻雲といった氷晶からなる雲である。

氷晶は多くの場合、単純な六角柱状の形をしており、その面は60度、90度、120度の角を成している。光線が六角柱状の氷晶の側面から入射し、別の側面から抜ける場合(頂角60度のプリズムとして働く場合)、氷晶の向きがランダムであると、太陽を中心とした半径約22度の円として光が見える。これを内暈(うちがさ、22°ハロ)と呼ぶ。観測される暈の大部分は内暈である。

一方、光線が底面から入射し側面から出る場合(あるいはその逆)には、頂角90度のプリズムとして働き、半径約22度よりも外側に半径約46度の円として光が現れる。これを外暈(そとがさ、46°ハロ)と呼ぶ。外暈が観測されるケースは比較的稀である。

氷晶の屈折率は光の波長によって異なるため、理論上は虹のように分光される。内暈、外暈ともに内側が赤色、外側が紫色となる。しかし、氷晶の向きがランダムであるため、散乱によって分光された色が混ざり合い、実際には白っぽく見えることが多い。ただし、外側の赤色は他の色と重なり合わないため、内側が赤や黄色みがかって色付いて見えるのが一般的である。


天候との関係
「太陽や月に暈がかかると雨が近い」という伝承は多くの地域に存在する。低気圧の接近に伴って発生する温暖前線の前方には、暈の原因となる巻層雲や巻雲などの上層雲が広がるため、天気下り坂のサインとして経験的に知られてきた。
歴史的・文化的背景
日暈は別名「白虹」とも呼ばれ、中国の古代においては不吉な兆しや兵乱の予兆と見なされた。『史記』の鄒陽列伝には、荊軻が始皇帝暗殺を謀った際、白虹が日輪を貫いたという故事が記されている。また、近代日本においても、新聞記事に「白虹日を貫けり」という文言が掲載されたことを発端として当局から弾圧を受ける「白虹事件」が発生するなど、歴史的にも人々の注目を集めてきた現象である。