物理学・計量単位
キログラム:質量の国際単位系基本単位

キログラム(kg)は国際単位系(SI)における質量の基本単位です。2019年の定義改定により、人工物である国際キログラム原器から、普遍的な物理定数であるプランク定数に基づく定義へと移行しました。
📌 主なポイント
- ✓キログラムは国際単位系(SI)における質量の基本単位である。
- ✓2019年5月20日より、プランク定数(h = 6.62607015×10^-34 J・s)に基づく定義が発効された。
- ✓かつての定義基準であった国際キログラム原器(IPK)は、経年変化の影響を受ける人工物であったため、普遍的な物理定数への移行が決定された。
- ✓日本国キログラム原器(No.6)は2022年に重要文化財に指定された。
キログラム(kilogram、記号: kg)は、国際単位系(SI)における質量の基本単位である。SI基本単位の中で、唯一SI接頭語(キロ)を冠している単位でもある。
定義の変遷
キログラムの定義は、科学技術の進歩とともに変遷を遂げてきた。かつては「水1リットルの質量」を基準としていたが、2019年5月20日以降は、普遍的な物理定数であるプランク定数(h)に基づく定義が採用されている。
プランク定数による定義
現在の定義では、プランク定数の値を正確に 6.62607015×10-34 J・s(ジュール秒)と定めることによって、キログラムが定義される。この改定により、キログラムは人工物に依存しない、より安定した物理的基盤を持つ単位となった。
国際キログラム原器(IPK)の役割
1889年から2019年まで、キログラムは「国際キログラム原器(IPK)」の質量と定義されていた。これは白金90%、イリジウム10%の合金で作られた円柱状の金属塊であり、フランスの国際度量衡局(BIPM)に保管されてきた。しかし、人工物である原器は経年変化や表面汚染による質量の微小な変動が避けられず、普遍的な物理定数への移行が長年の課題であった。
日本における質量標準
日本は1885年にメートル条約に加盟し、国際キログラム原器の複製を保有している。現在、産業技術総合研究所(AIST)が日本国内の質量標準を管理しており、かつて基準として使用されていた「日本国キログラム原器(No.6)」などは、現在では歴史的・学術的に重要な資料として保管されている。2022年には、この日本国キログラム原器が重要文化財に指定された。
グラムとの関係
グラム(g)はキログラムの1000分の1(10-3 kg)と定義される。SIにおいてはキログラムが基本単位であり、グラムは分量単位として扱われる。
よくある質問
なぜキログラムの定義は変更されたのですか?
人工物である国際キログラム原器は、経年変化や表面汚染により質量が微小に変動する可能性があり、長期的な安定性に課題があったためです。普遍的な物理定数であるプランク定数を用いることで、場所や時間を問わず不変の基準を得ることが可能となりました。
現在のキログラムの定義は何に基づいていますか?
プランク定数(h)を正確に 6.62607015×10^-34 J・s と定めることによって定義されています。
日本国キログラム原器は現在どうなっていますか?
茨城県つくば市の産業技術総合研究所(AIST)に保管されており、2022年には重要文化財に指定されました。
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参考文献
- 国際単位系(SI)第9版(2019)、産業技術総合研究所 計量標準総合センター
- 臼田孝『新しい1キログラムの測り方』講談社ブルーバックス、2018年
- 日本国キログラム原器について、産業技術総合研究所 計量標準総合センター