気象衛星の仕組みと歴史的発展

📌 主なポイント
- ✓気象衛星は、衛星軌道上から地球の気象や雲の状況を広域かつ短時間で観測する人工衛星である。
- ✓世界初の気象衛星は1960年4月1日に打ち上げられたタイロス1号(TIROS-1)である。
- ✓気象衛星が利用する軌道には、赤道上空約35,880kmを周回する静止軌道と、両極上空を通る極軌道(太陽同期軌道)がある。
気象衛星(きしょうえいせい)とは、地球の気象や環境を観測するために打ち上げられる人工衛星である。衛星軌道上から広範囲の気象状況を短時間で把握できるため、現代の気象予報や気象災害の監視において極めて重要な役割を果たしている。
主な観測機器と方法
気象衛星には、運用する国や目的に応じてさまざまな観測機材が搭載される。主な機器には、雲の様子を捉える可視光線カメラや夜間観測用の赤外線カメラ、水蒸気の分布を観測するための赤外線吸収カメラ、海上風や降雨量を測定するマイクロ波散乱計などが挙げられる。

これらを用いて取得された観測データは、数値予報の初期値としても活用され、人間の主観に依存しない客観的な気象予報の土台となっている。
軌道の種類による分類
気象衛星が利用する軌道は、大別して静止軌道と極軌道(太陽同期軌道)の2種類に分けられる。
静止軌道周回型
静止軌道衛星は赤道上空の高度約35,880kmを地球の自転と同じ向きに周回する。地上から見ると赤道上で静止しているように見えるため、常に同じ半球を継続して観測できる特長を持つ。

日本が運用する「ひまわり」シリーズをはじめ、アメリカのGOES、ヨーロッパのMETEOSATなどがこの軌道を利用して全球規模の気象監視を行っている。
極軌道(太陽同期軌道)周回型
極軌道衛星は、北極と南極の上空を結ぶ南北方向の低軌道(典型的な高度は約850km)を周回する。太陽同期軌道を通るため、特定の地点を通過する際の太陽時が常にほぼ一定となり、地上の光と影の位置関係が毎回同じ条件で撮影される。

静止軌道衛星では観測が難しい両極地方の観測に優れており、アメリカのNOAAシリーズなどがこれに該当する。


歴史的発展
第二次世界大戦後、アメリカにおいてロケットを用いた上空からの雲の撮影が行われるようになった。1954年のロケット実験では熱帯低気圧の全貌が初めて捉えられた。
世界初の本格的な気象衛星となったのは、1960年4月1日に打ち上げられたタイロス1号(TIROS-1)である。日中のみの観測で寿命も短かったものの、可視光カメラで撮影した雲の写真を地上へ電送することに成功した。
その後、1964年のニンバス1号による極軌道からの夜間赤外線観測を経て、1974年には初の静止気象衛星SMS-1号が打ち上げられた。これにより雲画像から風を連続して追跡することが可能となった。また、国際的な協力体制として、世界気象機関(WMO)のもとで世界気象監視プログラムが策定され、各国が分担して全球規模の監視体制が築かれている。