日本の伝統話芸「講談」の歴史と演目

📌 主なポイント
- ✓講談は、釈台の前に座った演者が張り扇で調子を取りながら軍記物や歴史にちなんだ読み物を語る日本の伝統芸能である。
- ✓講談の源流は神道講釈、仏教説法、室町時代の太平記読みに求められる。
- ✓明治時代に刊行された講談本の成功が、のちの講談社の創業につながった。
- ✓近年の講談界では女性の進出が顕著であり、若手層を中心に女性講談師が多数活躍している。
講談(こうだん)とは、演者が高座におかれた釈台(しゃくだい)と呼ばれる小さな机の前に座り、張り扇(はりおうぎ)でそれを叩いて調子を取りながら、歴史にちなんだ読み物を観衆に対して読み上げる日本の伝統芸能のひとつである。
歴史と源流
講談の源流は、神道講釈や仏教説法、室町時代以降の太平記読みに求められる。『太平記』を読む際は、本文の素読に続いて「解」「伝」「評」「通考」が行われ、次第に政治や軍法の批評、和漢古今の引用などに重きが置かれるようになった。宝永年間には公許の常設小屋で上演されるようになり、「講釈」と呼ばれるようになった。
江戸末期から明治時代にかけて全盛期を迎え、明治以降は「講談」と呼ばれるようになった。政治講談や新聞講談などの新分野が興ったほか、講談本を発行した成功から後の大手出版社である講談社が成長するなど、メディアの発展にも大きく寄与した。しかし、その後は他の大衆芸能の台頭やテレビの普及などにより、一時は衰微の道をたどった。
現代の講談界
現代の講談界は、東京と上方(関西)の大きく二つの地域に分かれて活動が続けられている。東京では歴史的ないきさつから「講談協会」と「日本講談協会」の二団体に分立しているが、定席興行などを中心に精力的な活動が行われている。また、上方においても「上方講談協会」「大阪講談協会」「なみはや講談協会」などの団体が継承に努めている。
近年の動向として、女性の進出が顕著であり、若手講談師の間では女性が中心的な役割を担っている。さらに、人間国宝に認定された講談師の存在や、メディア等で広く知られる若手・中堅の活躍により、新たなファン層の獲得が進められている。
主な題材と代表的な演目
講談の演目は、軍談や金襖物、捌き物、仇討物、白浪物などに分類される。歴史上の事件や人物伝を中心に、道徳や人間模様を描いたものが多く、近年では国際的事件や経営者の自伝など、新たな題材を取り入れる試みもなされている。
江戸の代表的な演目
- 赤穂義士伝(忠臣蔵)
- 清水次郎長伝
- 四谷怪談
- 宮本武蔵
- 寛永三馬術
上方の代表的な演目
- 太閤記
- 安倍晴明
- 木津の勘助
- 難波戦記
- 水戸黄門漫遊記