日本の法律
工業用水法:地盤沈下防止のための地下水採取規制
工業用水法は、地盤沈下が著しい地域において、工業用地下水の採取を制限することで地盤沈下の防止を図る日本の法律です。指定地域における許可制や規制の仕組みを解説します。
📌 主なポイント
- ✓工業用水法は、地下水の過剰採取による地盤沈下を防止するための法律である。
- ✓指定地域内での工業用地下水採取には都道府県知事の許可が必要である。
- ✓2018年9月時点で、全国10都府県の17地域が指定されている。
- ✓建築物用地下水の採取は、別の法律(建築物用地下水の採取の規制に関する法律)によって規制されている。
工業用水法(こうぎょうようすいほう)は、地下水の過剰な採取に起因する地盤沈下を防止し、工業用水の合理的な利用を確保することを目的とした日本の法律です。地盤沈下が深刻な地域を政令で指定し、その地域内での工業用地下水の採取を規制することで、環境保全と産業活動の両立を図っています。
規制の仕組み
本法に基づき、地盤沈下が著しく、かつ工業目的の地下水利用量が多い地域が「指定地域」として定められます。指定地域内で工業の用に供するために井戸から地下水を採取する場合、井戸ごとに都道府県知事の許可が必要です。
許可の審査においては、ストレーナーの深度や吐出口の断面積などが基準となります。また、許可された内容を変更する場合にも申請が義務付けられており、行政による立入り調査も規定されています。無許可での採取や命令違反に対しては罰則が設けられており、厳格な運用が行われています。
なお、建築物(ビル等)の冷暖房や洗浄に使用する地下水の採取については、本法ではなく「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」が適用されます。
指定地域
2018年9月時点で、全国の10都府県において17地域が指定されています。これらの地域では、工業用水道の整備を前提として、地下水から工業用水道への転換が推進されています。
主な指定地域一覧
- 宮城県:仙台市、多賀城市、宮城郡七ヶ浜町の一部
- 福島県:南相馬市の一部
- 埼玉県:さいたま市、川口市、草加市、蕨市、戸田市、八潮市など
- 千葉県:千葉市、市川市、船橋市、松戸市、習志野市、浦安市など
- 東京都:墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区
- 神奈川県:川崎市、横浜市の一部
- 愛知県:名古屋市、一宮市、津島市、江南市、稲沢市など
- 三重県:四日市市の一部
- 大阪府:大阪市、豊中市、吹田市、高槻市、茨木市、摂津市など
- 兵庫県:尼崎市、西宮市、伊丹市
よくある質問
工業用水法の主な目的は何ですか?
地下水の過剰な採取による地盤沈下を防止し、工業用水の合理的な利用を確保することです。
どのような井戸が規制の対象になりますか?
指定地域内において、工業の用に供するために地下水を採取する井戸が規制対象となります。
ビルやマンションの地下水利用もこの法律で規制されますか?
いいえ、建築物用地下水の採取については「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」が別途適用されます。
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参考文献
工業用水法(昭和31年法律第146号)