広辞苑:日本の代表的な中型国語辞典の歴史と変遷

📌 主なポイント
- ✓『広辞苑』の第一版は1955年5月25日に岩波書店より刊行された。
- ✓編者は言語学者の新村出であり、その素案は戦前の『辞苑』に遡る。
- ✓最新の第七版は2018年1月に刊行され、約25万語を収録している。
『広辞苑』(こうじえん)は、岩波書店が発行している日本の代表的な中型国語辞典である。言語学者の新村出を編者として迎えて企画され、第一版が1955年(昭和30年)5月25日に刊行された。言葉の意味を解説するだけでなく、百科事典的な項目や豊富な図版を合わせて収録している点が大きな特徴であり、中型国語辞典として広く普及している。
沿革と誕生の背景
『広辞苑』の直接的な出発点となったのは、大正末期から昭和初年にかけて出版業を営んでいた岡書院の店主・岡茂雄による素案である。1930年末、岡が盟友の岩波茂雄に相談した際のアドバイスをきっかけに、中高生や家庭向けの国語辞典の刊行を構想し、新村出に編纂を依頼した。新村の教え子であった溝江八男太の進言もあり、通常の語句解説に留まらず百科的内容を含む事典を目指す方針が固められた。書名は新村が考案した案の中から、東晋の葛洪による『字苑』にちなんで『辞苑』と命名された。
その後、編集作業の進展に伴い零細な岡書院の手に余るようになったため、博文館へ出版権が移譲された。1935年に『辞苑』が刊行されるとベストセラーとなったが、その後の改訂作業は第二次世界大戦の勃発や空襲による被災により中断を余儀なくされた。戦後、博文館側が改訂版の刊行を拒絶したため、新村猛らの交渉を経て、最終的に岩波書店から『広辞苑』という新しい書名で刊行されることとなった。こうした経緯を経て、1955年に待望の第一版が世に送り出された。
版の重ね方と特徴
第一版の刊行以降、社会情勢の変化や新しい言葉の登場に対応するため、大規模な改訂と新版の刊行が重ねられている。1991年の第四版や1998年の第五版、2008年の第六版、そして2018年の第七版に至るまで、収録語数は約25万語に達している。第六版以降では、薄くても透けない特殊な紙(チタン配合紙)を採用することで、ページ数が増加しても辞書の厚みを抑える工夫がなされている。
また、新しい言葉の選定においては、日本語として社会に定着したかどうかが判断基準とされており、時代を反映する流行語や専門用語が適宜追加・見直しが行われてきた。一方で、古文から現代文に至るまでの用例の出典を明示する方針が一貫して維持されている。
記載内容を巡る議論
『広辞苑』は権威ある辞書として広く利用される一方で、歴史的事件や社会問題に関連する語釈の変遷について、研究者や識者から様々な指摘や論争が提起されてきた。特に近現代史や国際関係に関わる項目、あるいは特定の社会通念を反映した表現については、版を重ねるごとの記述の変化や修正を巡り、多角的な観点から批評や議論が行われている。
よくある質問
『広辞苑』の最初の版はいつ発行されましたか?
『広辞苑』の初代編者は誰ですか?
『広辞苑』の最新版は何版ですか?
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参考文献
- 岩波書店 『広辞苑』各版
- 岡茂雄 『本屋風情』