気候学
ケッペンの気候区分:定義と分類体系

ドイツの気候学者ウラジミール・ペーター・ケッペンが考案した気候区分について、その歴史、判定基準、および気候帯の分類を解説します。
📌 主なポイント
- ✓ケッペンの気候区分は、植生分布と気温・降水量の相関関係に基づいている。
- ✓気候帯はA(熱帯)、B(乾燥帯)、C(温帯)、D(亜寒帯)、E(寒帯)の5つに大別される。
- ✓判定には月平均気温と月降水量のデータを使用し、乾燥帯の判定には乾燥限界値の計算式を用いる。
ケッペンの気候区分(Köppen climate classification)は、ドイツの気候学者ウラジミール・ペーター・ケッペンが考案した、植生分布に基づいた気候分類体系です。気温と降水量のデータのみを用いて簡便に気候を分類できることから、地理学や気候学の分野で広く利用されています。
歴史的背景
ケッペンは1884年に最初の気候区分を発表し、その後、自身の研究を通じて体系を拡張・修正しました。1918年には現在知られているAからEまでの主要な区分が確立され、1936年に最後の論文が公表されました。その後、トレワーサらによる修正や、現代のデータセットを用いた更新版(Peel et al., 2007など)が作成され、現在も気候学の基礎的な指標として用いられています。
気候帯の分類
ケッペンの気候区分では、低緯度から極地に向けてAからEまでの5つの主要な気候帯が設定されています。
- A(熱帯):最寒月平均気温が18°C以上。
- B(乾燥帯):年降水量が乾燥限界値に達しない地域。
- C(温帯):最寒月平均気温が0°C(または-3°C)以上18°C未満、最暖月平均気温が10°C以上。
- D(亜寒帯):最寒月平均気温が0°C(または-3°C)未満、最暖月平均気温が10°C以上。
- E(寒帯):最暖月平均気温が10°C未満。
判定基準
気候型の判定には、各月の平均気温と降水量のデータを使用します。特に乾燥帯(B)の判定には、年平均気温と降水季節性を考慮した乾燥限界値の計算式が用いられます。また、樹木気候(A、C、D)については、降水パターン(f:年中湿潤、w:冬乾燥、s:夏乾燥)や最暖月の気温(a, b, c, d)によってさらに細分化されます。
日本における分布
日本列島は、その地理的条件から熱帯から寒帯まで多様な気候が分布しています。関東以南の大部分は温暖湿潤気候(Cfa)に分類されますが、北海道や東北の内陸部、中央高地などは亜寒帯湿潤気候(Dfa, Dfbなど)に該当します。また、富士山頂などの一部の高山地域はツンドラ気候(ET)に分類されます。
よくある質問
ケッペンの気候区分は誰が考案しましたか?
ドイツの気候学者であるウラジミール・ペーター・ケッペンが考案しました。
気候帯の記号AからEは何を表していますか?
低緯度から極地に向かって順に、熱帯(A)、乾燥帯(B)、温帯(C)、亜寒帯(D)、寒帯(E)を表しています。
日本国内でツンドラ気候に分類される場所はありますか?
気象庁の観測地点では、富士山頂のみがツンドラ気候(ET)に分類されます。
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参考文献
- Peel, M. C., Finlayson, B. L., & McMahon, T. A. (2007). Updated world map of the Köppen-Geiger climate classification.
- 日下博幸『学んでみると気候学はおもしろい』ベレ出版、2013年。
- 仁科淳司『やさしい気候学』(第3版)古今書院、2015年。
- 小池一之ほか編『自然地理学事典』朝倉書店、2017年。