公設市場の歴史と役割

📌 主なポイント
- ✓公設市場は、公共団体が土地や建物を所有・提供する市場形態である。
- ✓1918年の米騒動を契機に、食料品の安定供給を目的として全国で急速に普及した。
- ✓多くの自治体では、小売業態の変化や施設の老朽化に伴い、民営化や廃止が進められている。
公設市場(こうせついちば)とは、地方公共団体が所有する土地や建物を利用して設置される市場の形態を指します。卸売市場と小売市場の双方が含まれますが、一般的に「公設市場」と呼称される場合は、生活物資の供給を目的とした公設小売市場を指すことが多くあります。
歴史的背景
日本における公設小売市場の歴史は、大正時代に遡ります。1918年(大正7年)4月、大阪市が「大阪市設小売市場」を開設したのが先駆けとされています。同年8月に発生した米騒動により、食料品の適正価格での安定供給が全国的な政策課題となりました。これを受け、内務省は「小売市場設置奨励ノ件」を発令し、各自治体で公設小売市場の設置が急速に進みました。1920年(大正9年)の時点で、六大都市には計109か所の公設市場が存在していました。
地域別の展開
名古屋市
名古屋市では、現在も複数の公設市場が運営されています。最盛期には15か所が存在しましたが、現在は築地、元古井、徳川、大高、南陽の5か所が稼働しています。

京都市
京都市では、かつて16か所の公設市場が市民の生活を支えていました。しかし、消費形態の変化や施設の老朽化に伴い、2006年(平成18年)3月末までにすべての公設市場が廃止され、民営のスーパーマーケット等へ転換されました。
大阪市
大阪市では、第一次世界大戦後の物価高騰対策として試験的に開設された市場が、米騒動を経て恒久施設となりました。昭和17年(1942年)には55市場にまで拡大しましたが、その後の小売業態の変化により、1984年度から順次民営化が進められました。設置根拠となっていた「大阪市設小売市場条例」は、2003年(平成15年)4月1日に廃止されています。

現状
現代の公設市場は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアとの競合、消費者ニーズの多様化により、その役割を終えて民営化されるケースが一般的です。一方で、沖縄県など一部の地域では、観光資源や地域コミュニティの拠点として存続している市場も存在します。
よくある質問
公設市場とは何ですか?
なぜ公設市場は減っているのですか?
公設市場はすべて廃止されたのですか?
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参考文献
- 朝倉真一、永橋為介、野嶋政和「京都市における公設小売市場・中央卸売市場開設過程にみる都市空間政策としての流通政策について」『都市計画論文集』第36巻、2001年。
- 並松信久「近代京都における公設市場の展開:中央卸売市場をめぐって」『京都産業大学日本文化研究所紀要』第22巻、2017年。
- 名古屋市「名古屋市公設市場のご案内」
- 大阪市経済局「大阪市における公設市場の今後の方向について」1985年。