古紙の流通とリサイクル事情

📌 主なポイント
- ✓日本における古紙回収の歴史は江戸時代にまで遡る。
- ✓2010年代の日本における古紙回収率は約80%に達している。
- ✓日本の古紙は徹底した分別管理が行われており、雑物の混入が少ない点が特徴である。
- ✓2000年代以降、中国をはじめとする海外への古紙輸出が価格や流通に大きな影響を与えた。
古紙(こし)または故紙とは、リサイクルされるために回収される新聞紙、雑誌、段ボールなどの紙類を指す。リサイクルに活用される紙には、市場に出回らなかった印刷物や、製造・加工工程で生じる裁ち落としなども含まれ、一般に市中回収古紙と産業古紙の総称として扱われる。
歴史的背景
日本における古紙の回収・再利用の歴史は古く、江戸時代にはすでに書き損じた紙などを回収して再生利用する業態が成立していた。都市部において紙が大量に消費されていたことや、日本の和紙の特性上、漉きなおしが容易であったことがその基盤となった。

近代以降もリサイクルが進められ、2010年代の日本では回収率が80%近くに達している。しかし、1990年代には古紙の価格が暴落してリサイクルの仕組みが機能しづらくなった時期があった。その後、2000年代に入ると中国の経済発展に伴って紙の生産量が急拡大し、古紙回収率が低かった中国からの需要が急増した。これにより日本からの輸出価格が上昇し、国内の回収体制にも大きな影響を与えた。
発生源と種類
古紙は発生するルートや用途によっていくつかの種類に分類される。
- 新聞(ONP):新聞古紙。日本の新聞回収率は他国に比べて高いとされるが、販売店のノルマ維持のために刷られて全量がリサイクルに回されるいわゆる「押し紙」の存在もその一因として指摘されている。
- 段ボール(OCC):段ボール古紙。家庭やスーパー等から回収されるO-OCCや、事業者から排出されるN-OCCに分けられる。
- ミックス古紙(MIX):雑誌、チラシ、紙箱など、新聞や段ボール以外の雑紙が含まれる無分別の古紙を指す。
品質と国際流通
日本の紙は原料中に占める古紙の比率が高いため、米国などのバージンパルプ比率が高い国の古紙に比べて再資源としてのパルプ化効率が低いとされてきた。そのため、かつては国際市場で二級品として扱われることも少なかった。しかし、日本古紙は徹底した分別が行われており雑物の混入が極端に少ないという特徴が評価され、2000年以降の世界的な古紙需要の逼迫に伴い海外製紙メーカーでも広く採用されるようになった。
一方で、中国が2021年に古紙の輸入を禁止したことや、アジア諸国における輸入規制の厳格化に伴い、雑紙が混ざったミックス古紙の国内滞留が懸念されている。そのため、より一層の分別の徹底が重要視されている。
回収と流通の課題
古紙の回収は、自治会やマンション管理組合などによる資源集団回収活動や、事業所からの回収によって行われている。

また、かつては家庭の不要な紙をトイレットペーパー等と物々交換する「ちり紙交換」が行われてきたが、現在では拡声器を使った営業活動が騒音苦情の発生源となることもある。さらに、自治体の集積所に出された古紙を回収業者や許可外の業者が無断で持ち去る事例が問題視され、自治体がリサイクル条例を制定して抜き取りを禁止し、法的措置をとるケースも見られる。