言語学
口語における言語学的特徴と日常会話の構造
言語学における口語の定義、文語との違い、日常会話で見られる省略や短縮形、フィラーなどの特徴的な言語現象を詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓口語は日常的な生活の中での会話で用いられる言葉遣いの基本形態である。
- ✓口語と文語の使い分けや機能的な棲み分けは、言語学においてダイグロシアと呼ばれる現象の一つである。
- ✓1918年(大正7年)9月、大阪毎日新聞の兵庫版付録において、日本で初めて口語体による編集が試みられた。
口語(こうご)とは、日常的な生活の中での対面や音声による会話で用いられる言葉遣いのことである。人間が用いる言語の最も基本的かつ自然な形態であり、言語学においては音声言語や話し言葉とも密接に関連して論じられる。
文語との対比とダイグロシア
書き言葉として用いられる文語に対し、口語は地域差(方言)や社会階層などによる言語変種が生じやすいという特徴を持つ。社会のなかで公式な共通語や公用語と、特定地域の口語や方言が機能に応じて使い分けられる状態は、言語学においてダイグロシアと呼ばれる。
歴史的に見ると、言文一致運動前の日本語では平安時代以来の書き言葉を基準にした文語体が使われており、庶民が日常的に話す言葉との間に大きな乖離が存在していた。また、新聞報道の歴史においては、1918年(大正7年)9月1日に『大阪毎日新聞』兵庫版付録で初めて口語体による編集が試みられ、徐々に各紙へ普及した経緯が記録されている。
日常会話における言語的特徴
口語は、伝統的な規範文法や厳密な統語論の規則に従わないことが多く、文語に比べて言語変化のスピードが速い傾向にある。具体的な構造上の特徴としては、以下のような現象が挙げられる。
- 省略: 文脈から意味が十分に推測できる場合、主語や助詞、述語などの構成要素が大きく省略され、不完全な文の形式をとることが頻繁にある。
- 短縮形: 複数の語句が結合して音が短縮された形態が日常的に用いられる(例:「〜ている」が「〜てる」になるなど)。
- 曖昧な表現: 指示代名詞の多用や、「〜とか」「なんか」「ちょっと」といった表現によって、意図的あるいは無意識に意味の焦点をぼかす表現が見られる。
- フィラーと間投詞: 発話の途中で思考の間を埋めるための「えーと」「あのー」といったフィラーや、感情を表す感動詞・間投詞が頻繁に挿入される。
- 言い直し・言い淀み: 話しながら文の構造を修正したり、言葉に詰まったりする現象が自然な会話の流れのなかで発生する。
よくある質問
口語とは何ですか?
日常的な生活の中での会話や音声によるコミュニケーションで用いられる言葉遣いのことです。
口語と文語の主な違いは何ですか?
口語が日常会話などの話し言葉を指すのに対し、文語は書記言語として用いられる書き言葉を指します。口語は方言などの変種が生じやすく、規範文法に従わない省略や短縮形が多く見られる点が特徴です。
ダイグロシアとはどのような状態ですか?
同一の言語社会において、公用語や共通語と、方言や口語などの言語変種が社会的機能や場面に応じて使い分けられている状態を指します。
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参考文献
下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、429頁。