航空機の多様な離着陸方式とその技術分類

📌 主なポイント
- ✓CTOLは一般的な滑走による離着陸を行う固定翼機を指す。
- ✓CATOBARはカタパルト発艦とアレスティング・ギア着艦を組み合わせた方式である。
- ✓STOVL機は実際の運用において短距離離陸と垂直着艦を組み合わせることが多い。
航空機の離着陸方法は、機体の特性、用途、運用される環境に応じて多岐にわたる。固定翼機を中心として、通常の滑走による離着陸から、短距離や垂直での離着陸、さらには特殊な補助手段を用いる方式まで、さまざまな技術が発展してきた。
通常の離着陸(CTOL)
滑走して離着陸を行う通常の固定翼機は、CTOL(Conventional Take-Off and Landing、シートール)機と称される。これは、後述するSTOL(短距離離着陸)機やVTOL(垂直離着陸)機と対比される基本的な概念である。


艦上機における運用方式(CATOBARとSTOBAR)
ジェット機のような大重量のCTOL機を航空母艦の艦上機として運用する場合、限られた甲板の長さで発着艦を行うため特別な補助が必要となる。
- CATOBAR(Catapult Assisted Take Off But Arrested Recovery)方式では、発艦装置としてカタパルトを使用し、着艦の際はアレスティング・ワイヤーに機体側のフックを引っ掛けて制動するアレスティング・ギア方式を用いる。
- STOBAR(Short TakeOff But Arrested Recovery)方式では、カタパルトの補助を受けずに自力で滑走して発艦する。通常はスキージャンプ台が使用され、着艦時にはCATOBARと同様にアレスティング・ギアの補助を受ける。最大離陸重量や運用効率に制約があるため、過渡的な方式とも評される。



短距離離着陸(STOL)
通常の固定翼機よりも短い滑走距離で離着陸できる航空機は、STOL(Short Take-Off and Landing)機と称される。明確な世界共通の定義はないが、滑走路長305メートル以下または610メートル以下とされる場合がある。翼面荷重の低減や高揚力装置の強化、プロペラ後流やターボファン・エンジンの排気を翼で下方に偏向するパワードリフト方式などが用いられることが多い。
垂直離着陸(VTOL)および関連方式
垂直離着陸が可能な航空機は、VTOL(Vertical Take-Off and Landing)機と称される。固定翼機に限定されることが一般的であるが、回転翼機などを含む場合もある。
STOVL運用
垂直離着陸機の多くは離陸のみならずSTOLにも対応しており、こうした機体は垂直/短距離離着陸機と呼ばれる。実際の運用では垂直離陸はまれであり、短距離離陸(STO)と垂直着艦(VL)を組み合わせたSTOVL方式が主流となる。滑走して揚力を得ることで最大離陸重量を大きく増大させることが可能である。

その他の離陸および着陸方法
航空機の運用目的や形態に応じて、以下のような特殊な離着陸・回収方法が存在する。
- 空中発進:実験機や無人機などで見られる方式。
- 牽引発進:グライダーなどで用いられ、地上牽引機や自動車、他の飛行機によって引っ張られて離陸する。
- 補助推進離陸:ブースター推進などを用いた発進方式。
- ネット回収・パラシュート着陸:小型無人機や宇宙機、探査機などで採用される回収・着陸手法。
- 人体着陸:ハンググライダーやパラグライダーのように、搭乗者が自身の肉体を用いて離着陸を行う方式。
よくある質問
CTOLとはどのような意味ですか?
CATOBARとSTOBARの違いは何ですか?
STOVL機が垂直離陸よりも短距離離陸を好むのはなぜですか?
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参考文献
- 井上孝司「多様化する現代空母」『世界の艦船』第907号、海人社、2019年。
- 野木恵一「発着艦方式の徹底比較: STOVL/STOBAR/CATOBAR」『世界の艦船』第825号、海人社、2015年。
- 齊藤喜夫「えあろすぺーすABC 【基礎・応用編】 VTOL/STOL」『日本航空宇宙学会誌』第54巻第635号、2006年。